熱帯果樹写真館ブログ

 熱帯果樹に関するトピックスをお届けします。

開花から収穫まで約1年間かかるサポジラ。

2015年07月08日 | サポジラ

 沖縄県内では時折サポジラの樹を見かけます。
 その多くは実生苗で確立した品種や系統はない様です。
 そのため、樹ごとに果実の形状、大きさ、味に差異があります。

 サポジラの果実の味について、私は「瑞々しい干し柿」と例えています。
 前述の樹ごとの味の差は、そこに加えるサポジラ独特の風味や石細胞の多少によるジャリジャリ感の違い、瑞々しさ加減が大きな要素と考えています。

 とにかく甘く、やや癖のあるサポジラは、人により好みが分かれる熱帯果樹かもしれません。


 2014年4月中旬に知人から「以前結実していたサポジラ樹を移植したら果実が着かなくなった」「環状剥皮を実施し、出蕾を促したい」と相談を受けました。

 そこで、直ちに主枝の半数程度に一周のノコギリ刃幅の環状剥皮を試みました(写真2)。



写真2.サポジラの主枝に施した環状剥皮。


 すると、それが功を成したのか、サポジラ樹が自らそろそろ出蕾しようとしていたのか、とにかく環状剥皮の約1ヵ月後(5月中旬)に出蕾を確認しました(写真3)。
 ただ、環状剥皮の效果と断定できないのは、環状剥皮を行っていない主枝にも出蕾が確認されたためです。



写真3.環状剥皮の約1ヵ月後(5月中旬)に出蕾を確認。


 その後、蕾は順調に生育し(写真4)、同年6月下旬に開花しました(写真5)。



写真4.出蕾確認約1ヵ月後(6月上旬)の蕾。




写真5.サポジラの花。


 それから半年ほど果実の観察を怠りましたが、恐らくは写真6、7の様な状態を経て、2015年1月中旬には果実は写真8の状態まで育ちました(写真6、7も同一樹内で2015年1月中旬に撮影。つまり、同一樹内で開花時期がずれる)。



写真6.着果初期のサポジラ果実。




写真7.果実肥大中のサポジラ果実(果頂部に突起が残っている)。




写真8.開花半年後のサポジラ果実(2015年1月中旬)。


 さらに半年経った2015年6月中旬。
 果実を触ってみると少し弾力がある状態になったので収穫しました(写真9)。



写真9.収穫直前のサポジラ果実(2015年6月中旬)。


 開花から収穫までに約1年間を要したことになります。
 同じ頃に開花した果実のうち落果直前のもの(果実に触るとポロっと取れた。以下、落果果実と記載)は果実表面を何かに齧られたような痕がありました(写真10左)。



写真10.収穫したサポジラ果実(2015年6月中旬)。


 収穫した果実はその日の夜に試食しました。
 果皮を剥くと、樹上で弾力を感じて収穫した果実の果肉は薄褐色であったのに対し、落果果実の果肉はより濃い褐色、Brixを測定するとどちらの果実も21%以上ありました(写真11)。



写真11.Brixは21%以上あり、とても甘いサポジラ果実。


 樹上で弾力を感じて収穫した果実はとても美味しいサポジラでしたが、落果果実は発酵した風味が強く美味しくありませんでした。

 果実にはスルッと取り出せる2つの種子が入っていました(写真12)。



写真12.サポジラの種子。


 その後、同時期に開花した果実のうち樹上では弾力が感じられない(硬い)果実を収穫し、常温下で追熟を試みてみました。
 すると、収穫数日後に果実に弾力が感じられ、前述の樹上で弾力を感じて収穫した果実と同様に薄褐色の果肉で美味しいサポジラを味わえました。

 以上の結果から、サポジラについて以下のことがわかりました。

 ・開花から収穫まで約1年間を要する。
 ・その間に同一樹内で異なる季節に開花する場合がある。
 ・収穫期を適正に判断するためには、開花時期毎に果実に印を付けた方が良い。
 ・果実群の1つが軟らかくなったら残りをまとめて収穫し、追熟して食べることが可能。
 ・落果するまで収穫を待つと果肉は発酵することがある。

 サポジラの特性を踏まえ、美味しい果実を獲得しましょう。




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