熱帯果樹写真館ブログ

 熱帯果樹に関するトピックスをお届けします。

雑誌「モモト」にパインアップルの写真を提供しました。

2016年07月19日 | ブログ運営

 編集工房 東洋企画が発行している雑誌「モモト」のVol.27(平成28年7月16日発行)に「熱帯果樹写真館」より写真提供を行いました。
 写真提供を行った記事は、生物講師やネイチャーガイドの肩書きをもつ石神安弘氏が本雑誌で連載されている「琉球いきもの雑学事典」の「File・21:パイナップル」です。

 実は、本ブログ管理人(ねこがため)と石神氏は、学生時代に同じサークルに属していた先輩&後輩の間柄です。
 石神氏は、昆虫や植物(特に種子に関する知識には脱帽)、陸生巻貝、海洋生物、海流に乗って辿り着く漂着物等に幅広く精通している私の知恵袋的存在です。

 また、石神氏は「美味しい果物に目がない」人物でもあります。
 学生時代の彼は、私が「美味しいマンゴーが手に入ったよ」と声をかけると、その日のうちに約60kmの道のり(琉球大学付近→名護市)を駆けつける(良い意味で)貪欲な後輩でした。
 社会人になった今では、「美味しい果物を作れる生産者(農家)」を品目毎に見出し、その果物の収穫期に農場まで買付けに行くほどの熱の入れようです。



「熱帯果樹写真館」からパインアップルの写真を提供した記事のページ。



 今回の記事は4段落構成の短い文章ではありますが、石神氏の度を超えた果物愛、専門家らしい着眼点そしてユニークな人柄が垣間見える文章を紡ぎ出しています。
 特に、3段落目「ゴールドバレルは、なぜ他の品種と比べて高価なのか?」から始まる論理的説明から4段落目の筆者自身がこれまで食べた中で最も美味しかったパインアップルに関する考察に続く文章は、熱帯果樹マニアをも唸らせる名文です。

 本記事に関心を持っていただいた方は、琉球・沖縄の時代と世代をつなぐ知的好奇心マガジン「モモト」のVol.27 を是非ご購入ください。

○参考文献
 ・「琉球いきもの雑学事典 File・21 パイナップル」.石神安弘.2016.モモト;Vol. 27;pp.65.





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「マンゴーの日」のイベントに行ってきました 2016。

2016年07月16日 | イベント

7月15日は、沖縄県農水産物販売促進協議会が2000年に制定した「マンゴーの日」です。
 沖縄県内各地の農産物販売所では、「マンゴーの日」に因んだマンゴーの消費拡大イベントが開催されます。

 平成28年7月15日、「マンゴーの里宣言」を行っている沖縄本島南部の豊見城市にある農産物直売所「JAおきなわ 食菜館 菜々色畑」でもマンゴーの消費拡大セレモニーが開催されました。



JAおきなわ 食菜館 菜々色畑。



 このイベントでは、特設舞台で近隣保育園の園児がエイサーを披露したり、豊見城市のマスコット「アゴマゴちゃん」、沖縄県農林水産物のマスコット「イーサーくん」、ミス沖縄やマンゴー生産振興に関わる各機関を代表する方々等がマンゴーのPRをしていました。



左端:アゴマゴちゃん、右端:イーサーくん。



 もちろん、直売所内ではマンゴーの販売、発送手続き、試食が行われており大盛況でした。
 多くのお客様が来場することを見越し、「菜々色畑」では通常の約2倍の千箱のマンゴーを用意していましたが、気持ちがよい位に売れていました。



マンゴーの化粧箱がたくさん準備されていました。





化粧箱をレジに運ぶ途中でマスコミのインタビューを受ける男性。





カート山積みでマンゴーを購入!





ミス沖縄が店内で試食を薦めていました。



 景気の良い売れ行きに気を良くして、豊見城市の隣にある糸満市の農産物直売所「JAおきなわ ファーマーズ・マーケットいとまん うまんちゅ市場」にも足を運んでみました。
 この2つの農産物直売所は、1本の直線状道路で車で10分程で行き来できる好立地ですので、沖縄県の農産物を探すときに便利です。



JAおきなわ ファーマーズ・マーケットいとまん うまんちゅ市場。



 「うまんちゅ市場」では、「マンゴーまつり」と称した消費拡大イベントが開催されていました。
 第1弾は7月15日~18日、第2弾は7月23日~24日だそうです。



「うまんちゅ市場」でのマンゴーまつり日程。



 店内にはマンゴー販売用に商品棚が広く取られており、こちらも売れ行き好調でした。



「うまんちゅ市場」のマンゴー販売棚(パック入り)。





こちらの化粧箱売り場でもカート山積みの購入者発見!



 今年の沖縄県産マンゴーは、天候不良等が原因で例年の30%減程度の不作と言われていますが、色のりが良い高品質なマンゴーが仕上がっています。
 7月中下旬には様々な農産物販売所でマンゴーの販売に力を入れていますので、是非ご賞味ください。


○参考サイト
 ・「おきなわ島食ネット
  ・JAおきなわ食菜館 菜々色畑店舗紹介
  ・JAおきなわ うまんちゅ市場店舗紹介





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パラミツの苗づくり

2016年07月02日 | パラミツ


 2016年5月27日にパラミツの果実を入手しました。
 今回入手したパラミツの果実は、外観の一部が黒くなり、若干カビが生え、ショウジョウバエがたかっていました。
 つまり、売り物にはならない果実です。
 この様な状態が悪い果実でも入手したのは、パラミツの苗が欲しかったからです。

 近年、沖縄県には海外からの観光客や移住者が増え、また海外旅行で東南アジア等で熱帯果樹を食した日本人観光客等も増えてきたことから、以前だと需要がなかったマニアックな熱帯果樹の売れ行きが伸びている現状があります。
 世界最大の果物としても名高いパラミツも需要の芽が出始めた熱帯果樹です。

 沖縄県中央卸売市場の仲卸業者の方にお話を伺ったところ、

 「パラミツは、定期的に少量ずつ入荷して欲しい品目」
 「まだ大量には売れないが、少量なら確実に売れる」
 「海外からの移住者等の強い要望がある」

 等と云った面白い情報を聴くことができました。

 今回入手した果実から得た種子から苗を作ることができれば、将来の国産パラミツ安定供給体制確立の一助になると考えています。

 パラミツの果実を切る際には、ヤニ状の果汁で包丁等がベトベトになることに注意しなければなりません。
 ただし、パラミツの果汁は油で溶けるため、事前に包丁や手にサラダ油を塗っておくと円滑にパラミツを楽しむことができます。
 
 しかし、このとき私の手元には包丁もサラダ油もなかったので、ナタと機械油を使うことにしました(果実が傷んでいると考えていたので、当初は果肉を食べる気がなかったため機械油で代用しました)。



写真2.入手したパラミツの果実とナタ&機械油
果肉を食べる際は機械油ではなく食用油を使う様に!



 ナタに油を塗り、ザクッと果実を切ります。
 幾つかの種子を切ってしまいました・・・・。



写真3.パラミツの果実断面


写真4.パラミツの果実縦断面



 果実を切った後は、種子をほじくり出すのですが、その際に刃が直接当たっていない箇所の果肉を食べてみました。
 外観は傷んだ果実でしたが、果肉は丁度食べ頃でした。
 果汁もベトついておらず、甘味もあり「これまで食べた沖縄県産パラミツの中では一番美味しい」と思いました。
 とは云え、少し癖の強い果実であることは否めないので、果肉はプラスチックコップに必要量をとり、ラップをかけて冷凍してから食べました。
 パラミツは冷凍することで癖が押えられ、初心者にも食べやすくなります。



写真5.パラミツの果肉は冷凍すると食べやすくなる



 さぁ、その後はひたすら種子をほじくり出す作業です。
 全部で60個余りの種子を得ることができました。



写真6.ほじくり出したパラミツの種子



 これらを蒔くのですが、パラミツの種子にはパルプ状の種衣があり、種衣を剥いた方が発芽率が良い(発芽時期が揃う)気がします。
 しかし、時間がない中で全ての種子の種衣を剥くのは面倒臭い・・・・。
 1/3(20個)の種子でのみ種衣を剥くことにしました。



写真7.種衣が付いたままのパラミツの種子(左)、種衣を剥いた種子(右)



 今回は、2Lのロングポットに土を入れ、2個/鉢ずつ播種しました。
 パラミツの種子は浅く植えるのが良いと聴いたことがあった気がするので、土は種子が見えなくなる程度としました。

 そして、待つこと20日間(5月16日)。
 見事、発芽しました!



写真8.播種後20日目のパラミツ苗



 種衣を剥いた種子では、20個中16個が発芽しました(発芽率80%)。
 種衣を剥かなかった種子も20個中15個が発芽(発芽率75%)しているので、十分熟した種子であれば種衣を剥かなくてもよく発芽することがわかりました。
 一方、種衣を剥かなかった種子で20個中9個しか発芽しなかった(発芽率45%)グループもありました。このグループは、状態の良い種衣未除去の種子20個を選んだ残りの種子です。この中には、ナタで種子の一部を切ってしまった種子や小ぶりな種子が含まれています(表1)。



表1.播種後20日目におけるパラミツ種子の発芽率




 播種をした日から発芽率確認の前日までの気象データは図1のとおりです。



図1.播種後20日間の気象データ

沖縄気象台のデータを抜粋・加工。観測地点:那覇。


 気温は25~30℃(平均27℃)程度で推移しており、平均気温の積算温度は概ね550℃/20日でした。
 5月27日~6月15日は沖縄県では梅雨でしたので降雨量が多く300mm弱/20日間の雨が降っています。そのため、播種後の灌水は、播種直後以外はほぼ行いませんでした。

 さらに、待つこと15日(7月1日)。
 種衣を剥いた種子では、20個中19個が発芽しました(発芽率95%)。
 種衣を剥かなかった種子も20個中18個と15個が発芽しました(発芽率90%と75%)。
 このことから、十分熟したパラミツの種子は、種衣を剥かなくても(若干の発芽の遅れはあるかもしれませんが)よく発芽することが確認されました(表2)。



表2.播種後35日目におけるパラミツ種子の発芽率




 また、パラミツは播種後35日程度で数枚の本葉が展開し、苗の高さが20cm程度になることもわかりました。



写真9.播種後35日目のパラミツ苗



 これらの情報が、今後パラミツの繁殖を試みる方の参考になれば幸いです。




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