熱帯果樹写真館ブログ

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種なしシークヮーサー「仲本シードレス」が品種登録されました

2009年03月29日 | 柑橘類
 2009年3月9日に種無し(無核)のシークヮーサー品種「仲本シードレス」が品種登録されました。
 その後、品種登録者である沖縄県は同月25日に記者発表を行いました。


写真1:「仲本シードレス」の果実断面(左)
写真2:普通のシークヮーサー果実断面(右)


 2009年3月26日の「沖縄タイムス」掲載記事「種なしシークヮーサー登録/同種で初 県、差別化狙う」によりますと、


 県農林水産部は25日、種なしのシークヮーサーを新種として農林水産省に品種登録したと発表した。シークヮーサーの品種登録は初めて。県では「種なしなので加工用としても活用しやすく差別化が図れる。今後は低木仕立てにするなどし、コスト削減による農家の経営安定と労力軽減を進めたい」としている。

 登録されたのは「仲本シードレス」。外見は通常のシークヮーサーと変わらないが、1個の実に通常15粒前後あるという種がない。種周辺にはがんの抑制や老化防止などに効果があるとされるノビレチンが多く含有されるが、この種なしシークヮーサーではノビレチンが通常と同じか、やや多い程度含まれており機能性も失われないという。

 種なしのため、加工用のほか、レモンなどに代わる各種料理への付け合わせやカクテルなどへの利用も期待できる。将来は全県のシークヮーサー生産量目標の4分の1にあたる1,000トン、出荷額で4億円相当を、この種なし品種にしたい考えだ。

 名護市内の農家で自然交配の結果偶然できた種なし品種の穂木を県農業試験場名護支所(当時)が入手し1999年から調査・測定を実施。2007年には農家から権利を譲り受け、今月初めに品種登録された。今後は県の許可がなければ県外での同品種栽培はできなくなる。県では、県外でシークヮーサー栽培が本格化した場合でも県産を差別化することが可能になるとしている。


 とのことです。

 また、農林水産省生産局知的財産課の「品種登録」に係るホームページでは、これ以外の情報として、


 ・植物体の形態的特徴
 ・「樹勢は中」等の生育特性
 ・「剥皮の難易は易」「甘味はやや低」「酸味は高」「香気の多少は多」「種子数は無」等の果実品質特性
 ・対象品種(大宜味系統、タヒチライム)との区別性
 ・「勝山系統シィクワシャー」の自然交雑実生から選抜したものである。


 等が記載されています。



写真3:「仲本シードレス」の若木


 沖縄県による「仲本シードレス」の普及、生産戦略に期待します。

○参考サイト
 ・沖縄タイムス 経済ニュース;「種なしシークヮーサー登録/同種で初 県、差別化狙う:09/03/26」
 ・農林水産省生産局知的財産課;「品種登録