MBAで教える「交渉術」

MBA留学先での「交渉」の授業内容を配信。といっても最近はもっぱら刺激を受けた本やMBAについて。

イチローの流儀

2006-10-09 | 雑記
掲題の本を読みました。(小西慶三著、新潮社)
メジャーリーガーのイチロー選手を長く取材してきた記者が、その素顔や野球に取り組む姿勢、物事の考え方をドキュメント形式でまとめたもの。

まあ、面白いところはあったのですが、個人的には「いまひとつ」感が残りました。
長谷川選手やサッカーの中田選手の同様なノンフィクションは好きなので、ちょっと期待はずれ感があります。

どのあたりに何となくイマイチな感じを持ったかと言うと、

-(描かれているイチローの)哲学が余り大したものに見えない/普通に見える
-全体を通じて強いメッセージが感じられない

というあたりでしょうか。
実際にそういう選手だからなのかも知れませんが、
基本に忠実/職人気質/自分が必要とするディテールに徹底的にこだわる
といった哲学も、「まあそうだろうな」という感じがしてしまうのです。
一流と言われる人ならそんなものだろうな、というか。

しかし野球のディテールで語ればいかにすごい選手かがわかるのかもしれませんし、だとすると野球をやらない人間から見たら結局イチローの凄さは分からずじまい、なのかもしれませんね。

また、まとめ方として結局何なのか、トーンが余り伝わってこず、本人のそばにいる他人が一緒にいる中で切れ切れのコメントや雑感を羅列した感じがちょっとします。
長谷川選手の本なら、
「普通と言われる人だってこんな風に考えてこんな風に準備すればこんなことを達成していける」、
中田選手なら
「本業は本業でこなしながら、こんな風に人生を考えて色んなことに可能性を見せることが出来る」
といった一種の感動や明確なイメージが伝わってきたものですが。

余計なコメントを交えず、あるがままの姿を伝えようとされたのだと思いますが、

-結局「あるがままに中立的に叙述する」ことなど可能なのだろうか?
-それが無理だったら嘘でもいいから、メッセージを明確にしてくれた方がいいのではないか?
(どうせその本だけを情報源にするわけではないし)

と考えてしまいました。
雑感ですが。


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