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【寓話】王様のタネ

2017-01-07 07:30:19 | アフリカ伝説
きょうは、あるところで目にしたアフリカの寓話についてご紹介してみたい。

むかしむかし、あるところに王様が住んでいました。王様は歳をとってきたので、10人の息子のいずれか一人に王位を継承しようと考えました。

そして王様は10人の息子たちを集めると、こう言いました。「息子たちよ、これから王様になるためのテストをする。その結果で、だれをわたしの後継者とするか、決めることにしたい。これからトウモロコシの種を与えよう。家に帰ったらこれを植え、三週間、一生懸命手間をかけて、育てるのだ。」

10人の息子たちはタネを手にすると、家に帰り、早速種まきをしました。


ある息子の家では、せっかく種まきをしたにもかかわらず、一向に芽が出てくることはありませんでした。本人も両親もとてもガッカリしました。

すると友人はこう助言をしました。
「市場で新しいタネを買って蒔くといい。」
しかし家族たちはこの助言に不安を覚えました。
「神はいつも正直であることを思し召されている。」
王様の息子は悩みましたが、最終的に友人からの助言には従わず、両親の言うとおりにしました。


3ヶ月がたち、10人の息子たちは再び王様のもとに集められました。9人の息子たちは、タネが芽を出し、栽培に成功したことを報告しました。王様は9人の息子たちに聞きました。「それは本当に私が渡したタネだったのかい?」「はい、王様!」9人の息子たちはそう答えました。

王様は首を振りながら、残りの一人の息子に目を向けました。この息子は恐怖に震えていました。王様は尋ねました。「たしかに私が手渡したタネを植えたんだね。」「はい王様、私は一生懸命世話をして育てました。でも残念ながら、タネは芽を出してはくれませんでした。」

王様はこう言いました。「私が手渡したタネは一度お湯の中で煮立たせたモノだ。煮てしまったタネは芽を出さないんじゃよ。王様の地位にある人は、常に正直でなくてはならない。」そう言うと、発芽に失敗したその息子に王位を継承することを宣言しました。


私たちは成功のためには手段を選ばない、そんな世の中を生きています。神はしばしば十分なモノを与えないことがあります。それは私たちに教訓を与えるためでもあります。成功のために、良心にもとる手段を取る人。与えられた環境を甘受する人。そして神はいつもあなたをみているのです。




(おわり)

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