byイアン・リード。坂本あおい訳。ハヤカワ文庫。
この小説は、語り手の『わたし』が付き合って日の浅い恋人、ジェイクと挨拶がてらに彼の両親の家に行くだけの物語。ジェイクは大学の研究所の研究員。ジェイクも『わたし』も物事を深く考えすぎな、繊細な神経、豊かな想像力を持っていて、それは正気でいられるぎりぎりの許容範囲内であったはずだった。陰鬱な冬の夜、雪が降って閉ざされた空間、人のいない田舎の農場、ジェイクが話す飼っていた家畜の壮絶な最期、どこかおかしい両親の言動。気がついたら読み手はどこがどうおかしいのかわからない歪んだ世界に取り込まれたような感覚に陥ってしまう。漠然とした不安が恐怖に変わるとき、恐怖が人を殺す・・・と言っても過言ではないようなこの小説の衝撃的なラスト。
さて、別の日のベル。
暑いので、ほとんど家の中。