志情(しなさき)の海へ

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新作組踊「サシバの契り」は若者の歌舞がはじけた!

2012-01-12 23:04:22 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
                (大城立裕先生と佐辺良和さん!)

久しぶりにゲネを見て、芸術監督とお話をして、演出の玉城盛義のお話も聴けた。
舞台終了後、楽屋では大城立裕先生がお元気なお顔を見せていた。去年真喜志康忠氏の告別式の日以来のことで、でも表情の笑みは少年のような愛らしさもーー。

歌舞劇で歌い、踊り、唱え、つらねもありで、幻想的で勇壮な踊りがあり、かつロマンも見せた。サシバの精カナスミガの美しさが圧倒的でその独特な座す姿勢(センシュアルな姿)に魅了された。佐辺さんが多良間の組踊「忠臣仲宗根豊見親組」のオーガマとクイガマの座姿にさらに足を少し高く構えて色艶を出した姿で、彼は独特な型を生み出したのである。動態の流れが全体を包んでいた、まさに歌舞である。

波のように、空を飛ぶサシバのように動態のリズムが貫かれた。漁師たちの空手踊りを創作したような群舞、そしてマサムイ(天願雄一)の歌劇のような歌、つらね、唱えと「舞踊歌劇の組踊」、45分で飽きさせなかった。サシバの精と海賊の恋、互いに大和を筋とする、と強調される他所者が島に残す使命のようなもの、カナスミガの島への愛は七色の漁場をさし示したが、海賊たちを追い払い、ウミワカは取り残される。海賊というリアルな実態と島に残された者、落ち鷹になったサシバの精との恋、幻想の世界である。それは物語そのものがリアルではなく大城先生の観念の中で創り出されたまたもう一つの物語空間であるような、そんな不思議な舞台だった。

海賊と漁師の闘い、命をかけてウミワカを守ったカナスミガがいて、サシバの精は海のかなたへと飛んでいった。かけがえのないものを残して、島人への生きる糧の漁場であり、愛するウミワカ(川満香多)には再生を!哀しい別れは再生の別れであり、すでにして人間ではなく鳥の精の幻想的な愛、夕鶴ともまた異なる幻想的な愛の世界は色々膨らんでいくものがそこにあった。残されたウミワカは島の人間として受け入れられていくのだろう。カナスミガは幻想の愛人!

落ち鷹のイメージが遊女のイメージにも重なるが、そうではなく、純愛のような元海賊との愛、ありえない愛がありえる物語である。サシバが人間の女に姿を変えて愛を全うするーー。

すでにして幻想の島空間に生きる者たちの愛と別れのドラマは他所者と島の者たちの異文化接触であり、内外、境界内部と外部その接点、多様な幻想が混合する世界、空想や観念の中にあり、現実にある境界の不思議さが海空の自然のたゆたう中で歌舞劇として幕を閉じた。

音楽は創作はなく口説が大城先生はお好きなのだとわかる。歌劇の歌やつらねがあり組踊の唱えは少ないように感じた。群舞で海賊との闘いや漁師の冷たい視線も表出していく。舞踊劇の面白さは身体芸術のようにユニーバーサルな身体を醸し出していくのかもしれないね。可能性がそこに漂っている。45分、「静」ではなく「動」の組踊である。

舞踊歌劇(新作組踊)は、組踊のバリエーションとして面白い。
島袋奈美さんのソロの歌はしんみりと響いてきた!女の感性を女が歌う。澄んだ声音が劇場にじわりと浸透していくような感じはいいね。


(楽屋の廊下であの美しく座する姿を撮らせていただいた!)

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