人間の名前ではなく、『それ』と呼ばれて、実の母親から虐待を受けた少年のノンフィクションである。
子供を虐待し殺すに至る親の心の闇に巣食っているのは何だろう。一方でそうした親に支配された環境で生き延びた少年の人生の軌跡に驚く。
かつて、戦後のカオスの中で沖縄で生れた子供たちの宿命にも幾重にも時代の波が襲ってきたのだ。貧困と立ち直りがあり、その中で親に捨てられた子供たちもいた事実がある。
I was bornだね。親を選べない私たち、存在の奇跡、不思議が、後からやってくる。刻印された存在の位置付けを生きていく。気がつくと誰かの子供だったのだー。