志情(しなさき)の海へ

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詩集『にんじん』(波平幸有さんの第7詩集)に感銘をうけた!にんじんとは沖縄語で人間である。

2020-04-04 06:43:33 | 詩、詩集

「さてぃむ くぬ世に生まりたるにんじん」
この沖縄芝居でよく繰り返される感嘆の表現が独特なリズムを生み出している!

沖縄から東京に渡り、かの地で半世紀以上生きてきた詩人、ディアスポラ沖縄人の中に流れている「うむい」がこのような独特なリズムを編み出していることに驚いた。

カラスは陰のように波平さんに張り付いているいわば氏の分身のような存在だろうか。現に生きて在る現象を、心の中を身の回りに起こった事柄を身内への追想を詩に結晶化した素のことばは、70歳から、精力的に水があふれるように詩に向かっていった情念が炎になっている。

読み返している内に「ああ、大都会の中で沖縄人として生きてきた、そのペルソナがむき出しになり、秘匿され、己を何重にも縛り付け、かつ見据えなければならなかった時間が、沖縄で生まれ育った幼少時《故郷》へ回帰していくのだ」という事が迫ってきた。

原点回帰していく人間の本性があるのだろうか。無心に生まれ育ったあの自然の中のあの小さな家や父母が思いだされてくるように、人は回帰する生き物(にんじん)なのだ。病室で「少年の僕が僕を見つめている」と語った故人となった詩人の姿が思い浮かぶ。


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