すっとこどっこいのレコ発の3日後、UTEROでMASS OF THE FERMENTING DREGS(マスドレ)主催の3マンライブへ行ってきました。
なんだかんだで今年は過去にない位、UTEROに通っていますね。このバンドはUTEROのスケジュールをチェックしていた時にものんくると同じように、10月のピックアップライブとして掲載されていた一つです。それまでは影も形も知らなかった。サブスクでニューアルバム「No New World」が聞けたのでしっかり聞き込みました。実際、ライブに行きたいなと思わせてくれる音がそこにありました。
【torch】
YouTubeでずっとチェックしていたバンドと思ったら、実際には同名で全然別のバンドだったというオチがあったバンドです。実は海外にも同名のバンドがあります。全然違うおっさん方だったという(笑)メンバーがfolk enoughなど他バンドでも活躍してて、一曲も分からなかったけれど、演奏は上手かったし、轟音混じりの野太い歌声で5曲程演奏されていかれました。音源が無いか調べたんですけど一切なかったので、YouTubeで「torch 福岡」で過去のライブ映像が観れます。もうこれは中々無い機会だったとしか言いようがないです。ありがとう。
【IRIKO】
3年前に、grafでとあるバンドの対バンイベントに出ていたのが最初。それ以来約3年振りの再会となりました。といっても面識はありませんけどね(笑)ずっとライブ情報とかは把握していたんですけど、これまたタイミングが合わなくて今回やっとの実現です。とにかく楽曲の世界観や言葉やメロディーを大切にじっくりと時間をかけていくバンドで、僕の中ではプログレッシブロックバンドっていう意識があります。マスドレさんとは以前からかかわりがあって、今回もマスドレさん直々のオファーで福岡、佐賀、鹿児島と九州ツアーは全て帯同されてたそうです。もっとも彼らはこの日の翌日も地元の久留米のお昼にあるイベントに出演するらしく無事に起きれるのかみたいな話をしていました(笑)ライブはその作り上げる壮絶な音世界と轟音が噛み合った、IRIKOという小宇宙の中にトリップさせられたような時間でした。一曲一曲が丁寧ですね。ノリでとかじゃなくてきちんと歌詞があって、メロディーがあって、その上に音世界があってっていう。やってる方がしんどい部分もあるかもしれないけど、聞き手はやっぱそこまで作り上げてるからこそ広がる音世界は中々味わえないものです。「Youth」「Baby Love」「Waiting for you」「Blue」等、最新アルバム「愛は祈りのように」から、PVになっているような曲をメインとしたセットリストでした。個人的なハイライトは終盤で演奏された「夜を抜けたら」。3年前にも聞きましたがこの曲の持つ眩きは、あの時と変わらない、色褪せぬ眩きが確かにありました。
【MASS OF THE FERMENTING DREGS】
SE
1.Sugar
2.New Order
3.She is inside,He is outside
4.かくいうもの
5.だったらいいのにな
6.YAH YAH YAH
7.delusionalism
8.HuHuHu
9.エンドロール
10.スローモーションリプレイ
11.あさひなぐ
12.ワールドイズユアーズ
13.ベアーズ
ENCOLE
14.ハイライト
ニューアルバムの「Sugar」というしっかりと聞かせる曲から始まったマスドレさん。
リードナンバーにもなっている「New Order」、そして「She is inside,He is outside」と演奏されていった彼女達のライブは、アルバムの中に収められていた音が彼女たちの最新型でありながら、決してそれだけが本質ではないという事をまざまざを見せつけられました。Voの宮本さんはオレンジのワンピースに下は裸足で、ベースを抱えながら仁王立ちで頭を振り回し歌い、コーラス&ギターの小倉さんの耳をつんざくような音色に、ドラムの吉野さんの太く大きく叩き付けられるドラミング。2000年代かな、9mmとかナンバーガールとかを聞いていた頃、あの轟音、激しさ、メロディアスさに、叙情的な想いを書き連ねた歌詞。多分ここ数年の間に出てきたバンドにはないだろう音。
「No New World」を主軸に、本人たちが言う所のレアな曲「delusionalism」等の過去の曲を所々散りばめていたセットリストは、演奏するにつれて僕の中でのマスドレさんの印象そのものを変えていきました。
上手く言えないけど、轟音なんですよ、音が。ぶっとい。僕がライブに行こうと思ったのは、その轟音さと、相反するような歌が活きたポップさとメロディアスさが魅力的だったからなんですよね。でもそれだけじゃなかった。分かったのは激情のような想いを内包してるってこと、そして突き動かす衝動のようなものが確かにあるんだってことでした。2002年に結成されたマスドレさんは、メンバーチェンジなどを経て、途中数年間の活動休止も経ながら、3年前から活動を再開して、アルバム自体も8年ぶり。それまではずっとリリースツアーなんか出来なかった訳ですよ。彼女達が何を伝えたいのか、何故歌い続けるのか、それは分からない。でも、そうまでして表現したい想いは、確かに感じることができました。やっとここまで来れたっていう想い。特に唯一のオリジナルメンバーである宮本さんなんて、あのパフォーマンスを見ながら、リリースツアーでライブが出きること自体に悦びを感じてるように見えたし(実際途中のMCでもそんなことを言ってましたが)他のメンバーも目の前で起こってる光景を楽しんでいるように見えました。それがいろんな形で曲に表れてました。「だったらいいのにな」とか「YAH YAH YAH」辺りは、ニューアルバムよりも化けて攻撃的になっていたし、逆にポップなコーラスが印象的な「HuHuHu」や、楽器隊の演奏とコーラスだけで聞かせる10分の大作「エンドロール」、一転して軽快なリズムを奏でる「スローモーションリプレイ」、最新型の彼女たちの核のような「あさひなぐ」と、多彩な表情を見せながら、終盤「ワールドイズユアーズ」そして「ベアーズ」と、とても「No New World」なポップ感のある曲があるとは思えない、まるで轟音で会話しているような混沌さで、本編を演奏しました。
その混沌冷めやらぬまま、アンコールで出てきたバンドは、宮本さんだけがフロアに降りてきて客席にスタンド代わりにマイクを持ってもらいながら縦横無尽に動き回りながら「ハイライト」を演奏。良い意味で「No New World」の彼女達を破壊するような最期でした。
そんなわけで思った以上の興奮と混沌があったマスドレさんの夜でした。
とにかく彼女達のライブは一回行った方が良い。本質はそこで初めて分かる。
そんなライブも久々に味わえたから、行って良かった。ありがとう。