御無沙汰です。
Angelo福岡ライブからちょうど1週間後の12/26、眩暈SIREN主催の対バンライブで再度ロゴスへ行ってきました。そしてこれが2021年最後のライブとなりました。Angeloで感動的に締めくくるというのでも全然良かったんですが、最後の最期までこういうEXTRA感を求めてしまうのが性なんですよね。。
眩暈SIRENは2019年にBEAT STATIONでの「神はサイコロを振らない」との1月のツーマン以来なので、実質約3年ぶりとなりました。元を辿れば2018年のONTAQが最初だから今回で3回目。何が好きかと言えば世界観ですかね、、明るくない。し、顔も殆ど見せないし、ずっと塞ぎ込んでいるというか。なのに楽曲の中では、誰かと繋がる事、生きる事に一番足掻いて、もがいて、光を探し続けているというか、生への躍動を人一番感じさせられる所だったり、、ですね。
今回は1stALBUM「喪失」と同時発売されたSingle「不可逆的な命の肖像」のリリースツアー対バン編の初日で、対バンはビジュアル系バンドのRAZOR。こちらも初見でしたが実は名前は知ってました。lynch.のイベントに出ていたり、ギターの剣さんがSadieのメンバーでもあるので、気にはなっていたので、丁度良い機会になりました。
会場のロゴスには開演15分前位に入場したのですが、メディア曰くの今季最強寒波の煽りでとにかく寒かった。いらっしゃいませの一言も言わず座ってたりドリンク代だけをぶっきらぼうに要求するスタッフを横目に入場。元気か?寒かったので余計イライラしましたね。もう少し接遇の勉強した方が...。感染対策で乾燥させる訳にもいかないので、建物内部も寒さが薄らぐ程度の空調でした。チケットには記載ありませんでしたが、着席スタイルで、席は自分で好きな所を選択可能となってました。この冷えぎみな温度と静かな環境も全部込みで演出と思って楽しんでいたんですけどね。
ロゴスの最後部を仕切りで覆っていたので、収容率70%位の状態になってました。
【RAZOR】
1.KNOT INVISIBLE
2.瓦礫
3.PRIMARY
4.DAYBREAK
5.COUNTDOWN
6.ギブミー不気味
7.Teach me your world
8.嫌、嫌、嫌。
9.ブルータルモダン
10.千年ノ色彩
眩暈SIRENとは去年対バンをしたそうですが、実はそれ以前から存在は知っていたそうで、雰囲気が全く違うバンド同士のツーマンという事で非常に楽しみにしていたという話や、イベントで福岡に来たのも初めて、ドラムロゴス自体も初めてという事で気合の入り方が尋常じゃなかったですね。
のっけから「やってやるぜ」的なオーラで、初見の客を絶対に繋ぎとめてやるって気迫も感じました。自分達は「ビジュアル系」だと敢えて宣言し、そんな勢いのまま、中盤にバラード系の曲がありつつも、全体的に激しいラウドロックなナンバーを立て続けに連発したセットリストでした。こちらの目当ての観客も多く、会場内には久々に荒れ狂うヘッドバンキングの光景がありました。先日のlynch.やSadieのライブを思い出しましたね。剣さんは黒髪だった以外、最後に見た2015年の時と何も変わっていなかった。下手ギターとベースの人、ドラムの人もポストハードコアなスタイルで、バンドの中で立ち振る舞いがバラバラなのも面白かったです。特にVo猟牙さんはアー写で見たビジュアルと違って、フルメイクでニワトリのように髪を逆立て派手な模様のスーツを着ていたのですが、2曲目でジャケットを脱ぎ捨て、終盤に至ってはヘアセットが原型を留めていない程に荒れ狂っていました。音楽ジャンル的に、進んで聴こうとは思わないけど、終始ハイテンションにライブは進行し、最後の最期まで自分達を刻み付けようとしたアティチュードは美しかったです。
セットチェンジ中に客席では席替えがおこなれていました。RAZORお目当てで前方にいた御姉様方が続々と退席され眩暈サイレンのファンと入れ替わっていました。中にはRAZORが終わった後そのままロゴスを後にする方もいて新鮮でしたね。そういう意味ではこの日はRAZOR目当ての方が多かった印象。
暫くすると暗転。前方の熱心なファンの方々が一瞬立ち上がりかけますが、何故かすぐに着席し、結局誰も席を立たなかった。僕は立とうとしてた矢先に皆座っちゃったのでそのままタイミングを逃してそのまま着席したまま鑑賞。
【眩暈SIREN】
SE.shjima
1.斜影
2.不可逆的な命の肖像
3.HAKU
4.偽物の宴
5.image_
6.紫陽花
7.思い出は笑わない
8.蒼彩
9.故に枯れる
10.ジェンガ
SEと同時にぼぼ暗闇の中、静かに入場。最後に京寺さんがいつものフード被った格好で入場し「よろしくお願いいたします」と丁寧な言葉を述べて開演。『喪失』の楽曲をメインとしつつ、過去曲も散りばめた新旧織り交ぜつつ進行していきました。彼らの音楽も激しいといえば激しいんですが、RAZORとはその激しさの本質が違っているんですよね。剥き出しの凶暴性を音に乗せ、ステージとフロアで上昇気流を生みつつ一体感を持って暴れまわっていたRAZORだとすると、バンドから放つ音楽を各々で受け止めている感じというか。何せパフォーマンスがほぼ無い。偶にウルさんが拍手を煽ったりはされますが、京寺さんはいつも通り顔が髪に覆われていて見えない、Gtのオオサワさんは終始客席から向かって右手を向くような形で後ろ姿しか見えない。Baの森田さんも前髪で表情が読みとれない、DrのNARAさんもフード被って顔見えない。(と言ってもその表現方法はそれで好きなんですけど)だから純粋に音楽そのものに集中されていく。バンド側が突っぱねているというより、そういう形でしか音楽を届けれない。不器用で繊細で、はち切れそうな心を繋ぎ止めようとする、生きる表現としての音楽、その秘めた激情が激しさに繋がっているのかなとか思いつつ。
京寺さんは何度か御礼の言葉を述べつつ、「蒼彩」前に少しだけMCをしてました。と言っても彼女の云わんとする所は何となくですが、大切なものを失う事は、時と共に風化できず、ずっと抱えていく事に意味がある的な内容だったような。彼女の事はよく分からないけど、バンドの環境が変化しても、この人の心の中にある本質的なものや孤独感はずっと変わっていないし、フードと前髪で素顔を覆い続ける限り、ずっと変わらないのかもしれない、そう思いました。そんな本質に少しだけ触れたような感覚の中、終盤にかけては、そんな想いに呼応するかのようにメンバーそれぞれの動きが荒々しくなり、特にラストの「故に枯れる」「ジェンガ」は音というよりもはや「叫び」そのものに聞こえました。
そんな景色を魅せつつ、最後は「ありがとうございました。」と御礼を述べて終演。アンコールもなし。
客電が点いた後、残っていた余韻は、解放感とも虚無感とも違う、また不思議な感覚でした。
心の中に爪痕を残されたような感覚。
他の観客の方々もほぼほぼ無言で席を後にする姿を見て、同じ感覚を覚えたのかなと感じました。
そんな忘れようもない感触と共に、僕の2021年のライブ参戦は終わりました。
何か、着席で無言っていうのは、sukekiyoに近い雰囲気を感じましたね。
まあ、全然音楽性は違うんですが、通じるものがあるというか。最初はどんな感じになるんだろうと思いながらのライブでしたが、両極端な内容で、結果としてこの日、この場所でしか堪能できない独特で貴重な時間だったと思います。福岡は終始着席でしたが、この後の対バンシリーズも同じとは限らない。眩暈SIRENは来年3月の福岡でのワンマンライブも行く予定なので、そこまででどう変化しているのか、楽しみです。忘れられない夜を、ありがとうございました。