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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

バリ舞踊「レゴン・サブダ・カサ Legong Sabda Kasa」

2011年07月27日 | 東京
 今年亡くなったバリの舞踊家ジェラダさんが創作したレゴン・サブダ・カサという創作レゴンを東京と大阪に住むバリ舞踊家達が5名で、この夏に行われる阿佐ヶ谷バリ舞踊祭(8月6日)で踊ることになった。私はこの舞踊の歌い手兼語り手(ダラン)として参加する。
 ジェラダさんは、私が大学生のころからともにバリ芸能と関わってきた友人の先生だった。バリに留学中だった友人に連れられて、ジェラダさんに何度か会ったこともある。舞踊家として活躍し、多くの踊り手を育てた私の友人は、ちょうど一年前の7月に、そしてジェラダさんもまた先月に亡くなった。
 舞踊の音楽は録音を使うために、それにぼくの歌をかぶせて、語りを入れることに最初はとまどいもあったが、今日の練習ですべてが吹っ切れた気がした。縁というのは不思議なものだ。この阿佐ヶ谷の舞踊祭で、亡くなった友人が日本で踊った創作レゴンが再演され、踊り手ではないぼくがそれに参加するなんて。
 もともと、レゴンにはセリフをはっきり入れるようなダランは必要ないし、それは舞踊であって演劇ではないと思っている。しかし踊り手たちの発案で、今回はストーリーの展開を言葉で表現することにした。後半はちょっぴりスンドラタリのように上演される。亡くなった友人はそんな新しい演出をどんな思いで観てくれるだろう。
「君とぼくは、若かったころ、大きなイベントをいくつも立ち上げてきた。もしかしたら、そんなイベントを開いていかったら、この阿佐ヶ谷だってなかったかもしれないよ。君はいつもぼくを驚かせるような案を持ってきた。そしてそれらはすべて緻密に計画されていたね。今回の演出も君ならうなずいて観ていてくれるだろう? 阿佐ヶ谷で君に会うのを楽しみにしているよ。ぼくは君に会いたくて初めて阿佐ヶ谷に出ようと決めたんだからね。だからこのレゴンだけじゃなくて、君の古巣でもあるスカル・ジュプンの演奏にも久しぶりに加わることにしたんだ。君に会いたいと思っているのはぼくだけじゃないよ。多くの教え子も友人もきっと君を待っているはずだよ。」

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