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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

チョップリンさんの《トゥルナ・ジャヤ》

2009年06月07日 | 大学
 昨晩、勤務する大学でバリ舞踊のレクチャーコンサートがあり、バリ舞踊家のチョップリンさんのお話と実演があった。大学のガムランサークルによる演奏で《トゥルナ・ジャヤ》という20世紀に創作された舞踊作品を踊っていただく。
 これまで何度もこの舞踊作品を演奏する機会はあったが、バリの舞踊家と合わせたのは初めてで、水曜日から始まった合わせの練習からそのテンポ感、勢いなどに圧倒されたが、やはりバリ人、衣装を着た本番の舞踊はとにかく「すごい」の一言であった。
 演奏者は常に舞踊の側面で演奏しているために、正面から見る舞踊家の容姿を見ることができない。そう思うと観客がうらやましくも思えるのだが、実は横で演奏するわれわれは演奏者の息づかいから、その一挙一同を肌で感じることができ、その動きを瞬時に音楽のテンポ、強弱へとコード変換している。特に速度の速い曲やリズムの複雑な曲はコード変換も0コンマの秒単位で対応しているだろう。つまり、踊り手の動きを一瞬でも見逃したとき、その音楽と舞踊のバランスは崩れてしまう。
 チョップリンさんの踊りは、慣れていないからではなく、その動きのメリハリ、緩急が多く、それが音楽とのやり取りの中でとてつもない緊張感を生み、またそうした雰囲気が観客にも伝わり、誰もが息を呑む。息をすう間がないような不思議な緊張感である。さらに、その顔の表情の豊かさは、音楽にもまたさまざまな表現をもたらす。演奏者は意識しなくても、その表情がわれわれの表現を誘導しているかのごとく。とにかく観客には申し訳ないのだが、私達はとてつもなく大きな経験をさせてもらったと思う。ガムランを続けていてよかったと思えるひと時の体験。

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