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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

微笑み返せなかった私

2011年04月25日 | 家・わたくしごと
 中学時代、私は熱烈なキャンディーズファンだった。当時流行していたプログレッシプ・ロックに傾倒しつつ、フォーソングも、もちろんクラシック音楽も聴きながらそれでもキャンディーズに夢中だった。どちらかといえば、解散する2年前くらいからキャンディーズの音楽を聴いたり、テレビ番組も見るようになったことを考えると、遅い時代のファンであり、筋金入りのファンからすれば「ひよっ子」なのだろうが。
 月並みかもしれないが、流行した音楽は自分を映す鏡である。だからこそ、キャンディーズの音楽を聞くと、リレーのバトンを持ってトラックを走り続けていた陸上部時代の自分の中学生時代が蘇るし、篭りはじめた池袋のART VIVANTで流れる不思議な香りや音楽が頭に浮かぶ。なんとなしに自分が進むべき道を模索始めた時代だった。
 2年前に買ったキャンディーズ全集のCD(これは今だ封を切らないまま、保管されているが)についていたポスターを先週、はじめてビニールから出して、一時だけ開いた。このCDセットを数万円を出して買ってはみたが、正直なところ、なんだか後ろを振り返るような気がして、封印していたのだった。
 キャンディーズのメンバーがポスターで微笑む。ポスターの中の彼女たちは決して歳をとらないのだ。これが過去のアイドルとの切ない再会である。なんだか自分だけ遠くに来てしまった気がして、ポスターの中の彼女たちの笑顔に微笑み返すことができない。すっかり悲しくなって、私は再びポスターをきれいに巻いてビニールにしまった。もう、しばらく見ることはあるまい。さよなら……。
 

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