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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

並ばない人たち

2007年08月23日 | バリ
 バリについて最初にしなくてはならないことは免許を「買う」ことである。こちらで調査をするときには自分で移動する「足」が必要であり、私は常にバイクを使う。もちろん日本の中免はもっているが、インドネシアは国際免許の協定には加盟しておらず、こちらで発行する免許が必要である。数年前までは、バリでしか通用しない観光客用免許というものがあったが、最近は外国人も短期間の正規の免許をとることが義務ずけられている。といっても要は「買う」のである。値段がいくらなのかはどこにも明記されていない。
 免許がないと基本的には捕まると罰金をとられるので、クロボカンの警察署までバイクでいく。国際免許は持っているが、正確にいえば、すでにこの時点で無免許である。去年、この途中で一斉検問に引っかかったが、これから免許を取りに行く、といったら許された。
 さて警察署であるが、支払いや書類がそろうと、それらのデータをコンピュータに入力してもらう部屋に入る。ドアは一つ。そしてその前には数十人の群集。彼らは並んでいないのである。ドアが開いた瞬間に、怒涛のように部屋になだれこみ、もう入れない、というところで警官がドアを閉める。そして、われ先にと書類を警官に渡すのである。あまりにもすごい光景だ。まるで、10数年前、ジョグジャ駅で電車の切符を買ったときのようである。
 なぜ、並ばないのか?中国人は並ばない、というのを聞いたことがある。実際に、今回も中国系の人々が空港のイミグレーションの列をむちゃくちゃに乱しており、西洋人が激怒していた。それにしてもインドネシアも同様である。警察署はそれを楽しんでいるというか、黙認しているというか。これも文化なんだろうか?
ちなみに、戸の横にはこう書いてある。
 「Mohon Antre 並んでください」 なんとも悲しげな張り紙であることか。
 私もこのドアの前の群集の一人となって、数人のサンダルを踏みつけながらも、一回で入室に成功したのであった。ちなみに、私は靴をはいていた。サンダルの人はさぞ痛かったであろう。しかしこうしなければ、ここでは生き残れないのである。

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