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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

オレンジピーラー

2009年05月13日 | 家・わたくしごと
 オレンジピーラーをご存知だろうか?その名の通り、オレンジのためだけの皮むきである。皮むきといえば、ジャガイモやニンジンなどの野菜用のピーラーは有名だが、さすがにオレンジ用のピーラーというのは、そうどこにでも売っているものではない。使い方は、オレンジの中央部分の厚皮を細く切り取り、中央から半分ずつ皮を剥くという実に便利なピーラーである。
 実はこのピーラー、父が海外と日本を行き来していたせいか、実家には私の小学生低学年時代にはすでにあり、子どもの時分は八朔や夏みかんというのはこのピーラーで剥くものだとばかり思っていた。ボーイスカウトに入ってから、大胆にも包丁などで筋を入れて、手で豪快に皮を剥く方法を知って唖然としたものである。
 結婚してから長らくオレンジピーラーとは無縁の生活をしていたのだが、このピーラーを父が最近わが家にプレゼントしてくれた。わたしもちょくちょくデパートなどで探してはいたのだが見つからなかった。たぶん父は都内の洋刃物専門店で買ってきてくれたのだと思う。もちろん日本製ではなくドイツ製である。
 数日前、このピーラーで皮を剥きながら、まだ食事をしているかみさんと息子に向かって(ちょっと自慢ありげに)こう語ったのだった。
「ぼくなんか、子どもの頃からこうやってオレンジ食べてたんだよ。」
 しかし二人は何ごともいわず、ただ黙々と食事を続けるだけである。たぶん口にものが入っていて何も語れないのだろう。私は続ける。
「見てよ、この美しい剥き方。ちょっと普通の人にはできないよね。」(写真参照)
 二人はまだ無言で食べ続ける。(数秒の沈黙)
「ちょっと、あんたたち、私のこと無視してるわけ!」
 私に目を合わさずに、かみさんのやさしい声での返事は以下の通り。
「どうせ、あなたは自分がインテリだって、自慢したいんでしょう?」
 息子は口をモグモグさせながらただ頷くばかりである。
「どうせ、あたしゃインテリですよ。悪かったですね!」
 初めてかみさんと息子は顔を見合わせて微笑む。(なんだか本日のブログは芝居の台本みたいになってしまった。)

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