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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

リーディングコンサート~絵本「スイミー」の世界~

2012年06月19日 | 大学
 大人になってから再び絵本に向き合うきっかけになった理由は、たぶん二つある。一つは自分に子どもができたこと。彼がいくつの時からだったか忘れたが、ぼくは、たくさん絵本を読んだ。彼のために、そして自分のために。時には息子に話を読み聞かせながら、読み手の私が涙を流したこともあった。小さかった息子は、そんな私をニコニコしながら見つめていた。涙の波にぼんやり揺れるそんな息子の顔を今でも思い出すことができる。
 もう一つはオランダのライデンに住んでいたとき。シーボルトハウスの隣に、Silvester(だったかな?)というかわいい絵本専門店があった。下宿からも近かったので、よくその本屋に寄り道をした。オランダの絵本作家なんてミッフィーのディック・ブルーナーと、かえるくんのマックス・ベルジュイスくらいしか知らなかったけれど、この本屋と出会ってからオランダの絵本のすばらしさを学んだ。絵本をいくつか買っては、オランダ語の勉強ついでに辞書を片手によく家で読んだ。絵本にすぎないのに「オランダ語の本読破」を達成するとなぜかとても嬉しかった。絵本による40の手習い?
 1週間位前、ラジオで佐野洋子の『100万回生きたねこ』の朗読を聞いた。何度も読んでいるし、絵だって記憶しているほどなのに、そんな朗読を聞きながら最後は涙がとまらなかった。絵本は本当に素敵な世界だと思う。見るもの、読むもの、ときには触れるもの、そして時には香りを感じるもの……。わずかな言葉と数枚の絵だからこそ、そこには限りない想像力をかきたてる余白が有り余るほど存在しているのだと思う。50歳になって、「100万回生きたねこ』は、最後に真の「幸福」に辿りついたんだって本気で思った。悲しいだけの話ではないんだってことはわかっていたのだけれど。
 私の務める大学で絵本を使ったリーディングコンサートがある。単に音楽付きの読み聞かせではなく、視覚も意識した空間演出が施されると聞く。絵本はオランダ生まれの絵本作家レオ=レオニの『スイミー ちいさなかしこいさかなのおはなし』。きっと学生たちはまだ小さかった頃、この話を繰り返し読み聞かせてもらったのではないだろうか?でも今、この絵本に再び出会うことで、子ども時代のノスタルジアに浸るだけでなく、そこには今だからわかる新しい発見があるはずだ。

 リーディングコンサート
   ~絵本「スイミー」の世界~
 日時:7月4日(水) 午後6時開場 6時15分開演 (上演時間約30分)
 場所:静岡文化芸術大学西ギャラリー
 入場料:無料
 演奏:榊原利修[コントラバス]・榊原祐子[ピアノ]
     (セントラル愛知交響楽団)
 朗読:土屋杏文 (静岡文化芸術大学3年)
 絵本:『スイミー ちいさなかしこいさかなのおはなし』
     作:レオ=レオニ  訳:谷川俊太郎
 企画・主催:SUAC芸術文化基礎演習(永井)受講学生

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