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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

真鍮ガムラン

2018年08月31日 | ジャワ

   ガムランは青銅で作られた打楽器アンサンブルである、と説明することが多いが、近年は青銅の値上がりにより代用品として、真鍮やら鉄が使われることがある。特にジョグジャカルタ郊外にはそうした金属で楽器を作る専門の工房がいくつも立ち上がって、結構、注文に追われている。
   今回、パレードでトラックの上で演奏されていた真鍮製のジャワの楽器の演奏を始めて見た。サロン(鍵盤楽器)を見てみると、一枚の板をきれいに曲げて作られていることがわかるだろう。青銅だと鋳鍛造なのでかまぼこ型になるが、真鍮板を曲げただけであればかまぼこにはならないのである。
   バリでは真鍮のガムランは嫌われるだろう。近年、高価な大型ゴングが鉄で作られているが、これも代用品としての位置づけである。しかしジャワでは代用品からすでに「真鍮のガムラン」が市民権を得ているような気もする。ジャワの青銅製のガムランは大型で、青銅で楽器を作ることははっきりいって金銭的に簡単ではない。結果的に真鍮製のガムランの音は、すでにジョグジャカルタ市民の新しい耳をつくり、彼らはそれを受け入れたように思う。もちろん伝統音楽では青銅製の楽器であろう。しかしガムランはもはや伝統音楽にとどまらない。さまざまな新しい音楽の中に取り入れられていくことで、楽器も変化していくものだ。つまり新しい音楽の中で、新しいガムランは市民権を得ていくということだ。