Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

伝承

2015年10月01日 | 那覇、沖縄
 伝統芸能の伝承が多くの場所で危ぶまれている。「惜しい」と叫ばれながら、それでも毎年、消え去っていく芸能が山のようにあるのだと思う。伝統の消滅は時代の流れには逆らえまい。
 先週のこと、沖縄の南風原町本部集落で見た中秋のお祭りの中の一シーン。この時期、沖縄では各地で「獅子舞」が踊られる。南風原町では三か所に獅子舞が伝承されているという。獅子が出てくると集落の子供たちが怖いものみたさで舞台の前にかけよる。子どもによっては舞台にかぶりつきである。一方、見たいのだが恐ろしさのあまり近くに寄れない子もいる。どちらにしても子どもはみな獅子舞にくぎ付けなのである。
 伝承とはこうして世代間に受け継がれていくものである。義務ではなく、はじめは「好奇心」だろう。その芽が大きき育ち、花が咲くまでには時間がかかる。それでも「種」がなければ植物は育たない。「種」、それが子どもたちの「好奇心」だ。少子化に悩む日本の中で、例外的に沖縄にはたくさんの子どもがいる。バリも同じだ。子どもがいれば、芸能はどんな形でも継承されていくものだ。この写真の子どもたちの何人かもまた次世代の獅子舞の担い手になるに違いない。