渋谷のタワレコに一度入り込むと、最低2時間は出て来れなくなります。ぼくにとっての渋谷のオアシスの一つは目新しいショッピングビルではなくてここ。一階から順にいろいろな音楽を試聴して、最後はずっと上の階のクラシックコーナーまで一つずつ昇っていきます。浜松からのバス、渋谷に停車してくれて本当に嬉しいのです。
前回のタワレコ探訪で買ったCDがこの平井真美子の「夢の途中」。ヒーリング系のピアノです。前回、このジャンルの視聴買いは川上ミネでした。視聴して気に入る音楽って、確実にメロディーと使われているハーモニーですね。あとはあまり極端な強弱がないこと。クラシックのピアノだと、ときに強弱がキツすぎることがあるのです。
やはりピアノ。ボクが一番好きな楽器はピアノです。ガムランは二番目。一番好きな楽器で奏でる音楽は、「聴く音楽」として大事にとっておいています。もしボクがピアノの音楽を研究して音楽学者になっていたら、こんな風にピアノの音楽に接していたかなと思うのです。
川上ミネもそうですが、この平井真美子の奏でるピアノも、きっと私を飽きさせない音楽だと思います。薄っぺらい旋律や響きは一過性のモルヒネみたいなもので、時間がたったら跡形もなく記憶の中から消えて、もう二度と聞きたいとは思わなくなります。視聴していてなんとなくわかるんですね。この音楽とは長いお付き合いになるだろうって。「出会った衝撃」みたいなものではないのです。ただ、なんとなくですが、インクが水の中にゆっくり溶けていくような、そんな不思議な感覚を覚えます。新しい音楽との出会いは、人との出会いと似ているのです。この人とならうまくやっていけるかもしれないな、みたいな…。