Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

千鳥ヶ淵の桜

2010年04月05日 | 東京
 「今日は天気もいいから、千鳥ヶ淵あたりは花見の人でいっぱいだよ。」
 「これから私も九段の方に散歩がてら行ってみようと思っていたんです。」
週末、神保町の古書店を歩いているとき、店主がそんな話を常連客と交わした会話が私の耳に入ってきた。
 正直なところ、千鳥ヶ淵は「戦没者墓苑」の場所としては知っていたが、うかつにも、そこが桜の名所であることは知らなかった。まだ東京に来て桜を見ていなかった私は、その古書店での二人の会話につられて、千鳥ヶ淵に行ってみることにした。
 地下鉄の九段下周辺は桜見の客でごったがえしている。世間の人々は千鳥ヶ淵が桜の名所であることをちゃんと知っているようだ。それにしても、濠沿いには満開の桜の花が咲き乱れている。なんだかこれだけ咲いていると、「美しい」とか「きれい」とかいう表現が当てはまるかどうか疑問である。もちろん美しく、きれいなのだが、ぼくは正直なところ、かみさんが沖縄で育てた一輪、二輪の桜の花の方にずっと感動した。桜はその本数や花の数が大事なのではなく、その花の持つ季節感、その花への思いのようなものが、重要であるような気がする。何週間か前に見た鉢植えの一輪の桜の花から、十分にそれが伝わったのだから。