Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

靖国神社にて

2008年05月07日 | 東京
 先週の土曜日、古書店のある神保町から歩いて、九段下の靖国神社まで散歩をした。というのは靖国神社の中の遊就館で幕末維新展が開かれていて、それを見るためである。
 それにしても靖国神社にはいったいどのくらい行っていなかったのだろう。中学3年の時に大村益次郎の銅像を見るために訪れた記憶があるが、その時は正直、この神社に何が祀られていて、どんな意味を持っているのかわからなかった。そうした意味を知ったからというわけではないが、とにかくここに足を向ける機会がこれまでなかったのである。
 神社を訪れた5月3日は、午前中の雨も上がり雲の隙間から太陽が覗く陽気で、たくさんの観光客らしき人々が神社を訪れている。ご老人の夫婦、家族三代そろって訪れる人々、デートらしきカップル、そして外国人観光客・・・。この神社には、儀礼的目的で訪れる日本人と、名所である神社を訪れる観光客が混在しているのだ。そういう意味では、まるでバリの寺院のようである。バリでは日本人が観光客であるのだが。
 礼拝の様子をぼんやり眺めながらいろいろなことを考えてしまう。日本人がここに来て手を合わすのは自由である。個人の思い、あるいは日本人としての思いなどそれぞれだろう。靖国が政治的な話題にのぼるようになってから、ここに行くという行為が、あたかも政治性を帯びた行為のようにみえてしまうのだが、こうしてその場に立ってみると、そんな考えは誤解であることを実感する。
 そんな思いに耽る中・・・「NO CAMERA!」と耳をつんざくばかりの大きな声が、社殿全体にこだました。神社で手を合わす日本人の写真を撮影しようとした外国人に対して、警備の男性が怒鳴ったのだ!
 さて、私としては困惑してしまった。確かに拝殿している人の写真を撮るのは失礼だという気もするが、日本人同士で撮影することだってあるだろう。だいたい、われわれ日本人はバリで、寺院に降臨する神々に高く手を合わすバリ人の姿をパチパチと撮影しているではないか。もしここにバリ人がいたら、いったいこの光景に何を思うのだろう?