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ダム見学通路があるので行ってみる。
中々迫力があって面白い。
来てみて良かった。
大滝ダムは堤高100.0mの重力式コンクリートダムである。
ダム本体の設計も数度の変更があり、当初は非常用洪水吐5門・常用洪水吐4門を備えるダムであった。
1980年(昭和55年)頃にはウイングダムが左岸に付いていた。
その後ダムのデザインについて建設省は「大滝ダム景観検討委員会」を設置、専門家のみならず川上村住民にアンケート調査を行って、6種類のデザインについて検討を行った。
この結果現在のデザインとなったが特徴的なのは非常用洪水吐上端部のアーチ型のデザインであり、アーチ橋をモチーフにしたものとなっている。
これは住民の意見を取り入れた初めての試みでもある。
また、建設中は左岸部の国道沿いに「学べる建設ステーション」を設け、ダム建設現場を間近で見学できるようにしている。
このステーションはオープンから1,440日目に来場者が20万人を突破している。
目的は紀の川の洪水調節と正常な流量を維持する不特定利水、大迫ダムと共に奈良県北部(奈良市・生駒市・大和郡山市・天理市・桜井市・宇陀市・香芝市・大和高田市・橿原市・葛城市・御所市・生駒郡・高市郡・北葛城郡)の11市15町村への上水道供給に加え和歌山市を含む和歌山県北部地域・橋本市への上水道供給、和歌山市沿岸工業地域への工業用水道供給、そして関西電力による認可出力10,500kWの水力発電である。
なお、洪水調節については1974年に改訂された『紀の川水系工事実施基本計画』に基づき、流域の宅地化進展による治水安全度を高める為に150年に1度の確率で起こる水害に備える計画に合わせた。
そして河口部に建設している紀の川大堰と統合的に運用する事で、合理的な治水・利水を図ろうとしている。
ダムは2002年(平成14年)に本体が完成し、試験湛水を行い2003年(平成15年)に完成する予定であった。
しかし試験湛水中の4月25日、川上村白屋地区で斜面に亀裂が発見された。
住民からの通報により国土交通省は直ちに計器類を設置するなど監視を行い、5月11日には試験湛水を中断した。
だがその後も亀裂は拡大し、白屋地区では家屋に亀裂が入るなど深刻な状況となった。
事態を重視した川上村・川上村議会・川上村議会ダム対策委員会は国土交通省に対し抜本的な対策を要望、7月には特に亀裂が深刻な6戸について仮設住宅への移転を開始した。
川上村の紀の川流域における地盤については、かねてから脆弱性が指摘されており、地滑りの危険性は1974年頃には既に金沢経済大学の吉岡金市や和田一雄らから問題提起されていた。
実際に1967年には上流の大迫ダム建設地点で地滑りが発生しており、建設を強行しようとした農林省と川上村住民が小競り合いを起こしてもいた。
建設省は地滑り対策について1999年(平成11年)に「貯水池斜面対策検討分科会」において深度50mまでのボーリング調査を行い、過去に地滑りを起こした形跡がない事、脆弱な地盤は範囲が狭いなどの検査結果を示した。
これを基にして現在深度50mまでの地滑り域に対する恒久的地滑り対策を実施している。
だが、公共事業の問題点追求を全国的に展開している「国土問題研究会」などは建設省(国土交通省)の対応について、地滑り危険度や地滑り対策の十分な検討を待たずに建設を急いだ事、亀裂が発生した後直ちに湛水を中止しなかった事などを厳しく非難している。白屋地区住民は全戸の永久移転を7月には要望し、10月末には国土交通省も白屋地区の土地買い上げと全戸移転を骨子とした補償策を受け入れたが、現在に至るまで恒久的移転は実現していない。
この事についても厳しく糾弾を行っている。
また、大滝ダムだけに依存しない治水対策の必要性も訴えている。
具体的には狭窄部を開削し湛水被害を防ぐ事や、下流部の内水氾濫対策などを行い水害の危険度を分散させ、治水安全度を高めることでダムへの治水依存を軽減させるというものである。
当初の建設事業費は230億円とされていたが、現在では3640億円まで増額されている。
また、この地すべり問題に関連して、移転を強いられた元の住民30人が、国に対し約9,000万円の支払いを求める訴訟を起こした。
一審の奈良地裁は、2010年3月に、地すべりの予見性を認めたものの住民の損失は既に補償されているものとして、住民側の訴えを退けられた。
二審の大阪高裁は、2011年7月13日に、仮設住宅への避難を余儀なくされた精神的な損害を認め、国の過失を認め約1,200万円の支払い(1人あたり100万円)を命じた。
ただし、原告が求めた墓地などの移転費用は、既に補償が範囲だとして認めていない。
住民、国双方が上告しなかったため、同年7月28日に判決が確定している。
ダム建設を巡る訴訟で住民の訴えを認めたケースは、日本では初のことである。