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なごみと素敵を探して
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このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

「スイート・ホーム・シカゴ」

2023年08月25日 | ブルース

映画「ブルース・ブラザース」(1980年)より。ダン・エイクロイド最狂にして最高!

 

 なぜそんなにもブルースが好きなのかと時々尋ねられる。

理由などないのだけれど、強いて言えば、ブルースは人生をリアルに表すもので、生活そのものだからか。

 ロバート・ジョンソンが作曲した「スイート・ホーム・シカゴ」は高名なブルース・ナンバーだが、広く歌われるようになったのは、シカゴのご当地ソングというニュアンスからで、代表的なのが「ブルース・ブラザース」での派手で楽しい演奏だ。

けれども、ロバート・ジョンソンの原曲は大きく趣を異にしている。

歌詞を訳してみる。

ブルースはとにかく歌詞が単純なので、かえって解釈が難しい。

 

おお、ベイビー、行きたくないか

おお、ベイビー、行きたくないか

カリフォルニアの地へと戻り

そして懐かしの故郷シカゴへ

さてと、1足す1は2で、

2足す2は4だ

オレは重荷を背負っているが

予定があるから行かなくちゃならない

オレは泣いてるよ、ベイビー

ハニー、行きたくないか

カリフォルニアの地へと戻り

そして懐かしの故郷シカゴへ

さてと、2足す2は4で、

4足す2は6だ

お前は男たちをもて遊び続けるだろう

お前のやることはすべていかさまだ

 

でもオレは泣いてるよ、ベイビー

ハニー、行きたくないか

カリフォルニアの地へと戻り

そして懐かしの故郷シカゴへ



さてと、6足す2は8で、

8足す2は10だ

友よ、以前彼女はお前を騙したっけな

必ずまたやるだろうよ

オレはカリフォルニアへ行く

そこからアイオワ州デモインへと

誰かがオレに言うだろう、お前が

オレの助けを求めてると、泣けるぜ

なあ、なあ

ベイビー、行きたくないか

おお、ベイビー、行きたくないか

カリフォルニアの地へと戻り

そして懐かしの故郷シカゴへ

 

この曲が好まれる理由の一つが、歌詞の奇妙な数遊びだ。

1番では、

「1足す1は2で、

 2足す2は4だ」、

それが2番では、

「2足す2は4で、

 4足す2は6だ」、

そして3番になると、

「6足す2は8で、

 8足す2は10だ」、と増えて行く。

いったいこれは何だと思います?

僕は若いころ、これはウイスキーのコップの数だと、やはりブルース好きの先輩から教わった。

「1杯足す1杯は2、2杯足す2杯は4」

「4杯足す2杯は6」

「6杯足す2杯は8、8杯足す2杯は10」

右が2杯で止まっていて、左がどんどん増えている。

この曲の中には男が二人と女が一人存在していて、二人の男は安酒場で酒を酌み交わしているが、一人の男の頭の中は(この場にはいない)昔の女のことでいっぱいだ。

そして、相手が遠慮なく飲んでいる酒の勘定のことも同じくらい大きな心配事だ。

頭の中にいる女のことで飲めないのか、それとも懐が心配だから手が止まっているのか。

シカゴへの旅費を使ってしまっては一大事だから。

女への思いがブルースで、懐(会計)の心配もブルース。

このむき出しの生活描写が、ブルースの面白さ、魅力だと僕は思っている。

 

このLPが発売されたころ(1961年。日本発売は1981年)、ロバート・ジョンソンの写真はまだ発見されていなかった。ジャケットのイラストはレコーディングの想像図だ。

 

 

 

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