長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

夕べほどなく暮れ方の…

2022年11月30日 00時24分10秒 | お知らせ
 西暦2022年の11月は本日、30日をもって終焉となりますが、ご安心くださいませ。
 今日は、太陰太陽暦令和四年霜月七日。
 (明日はまだ師走じゃない…!!)
 雨が上がれば上弦の月が、暮れ方に南中して、なかぞらに皓々と輝きましょう。

 と、心の持ちよう一つで浮世離れして、今宵は憂き世のうさを晴らす、ゆらぎ成分が汪溢する邦楽の演奏会へお越しくださいませ。

 第12回 伝統長唄伝承の会
  日本橋公会堂(日本橋劇場) 日本橋蛎殻町1-31-1 日本橋区民センター4階
  暮れ方の午後5時開演
  入場料は自由席にて3000円

 番組 
  二世 杵屋勝三郎 作曲 時雨西行/しぐれさいぎょう
  三世 杵屋六四郎 作曲 阿国歌舞伎/おくにかぶき

  三世 杵屋勘五郎 作曲 橋弁慶/はしべんけい
 何と有難いことに、当代の勘五郎師のご指導を賜りまして、橋弁慶に徳桜も出演いたします。
 この度は、能と長唄による「橋弁慶」という企画曲で、
 観世流シテ方の川口晃平師のご出演を賜り、通常の演奏形式とは異なる新演出です。

 江戸は日本橋にて京の五条橋を髣髴とさせる試み、ぜひお越しくださいませ。
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西池袋おけいこ案内

2022年11月22日 08時34分34秒 | お知らせ
 能楽の初体験をなさった方々から興味深い感想を伺いました。
「笛の音程がはずれているのに、とても心に残って、また聞きたくなってしまった」
「鼓:つづみの音程が見る舞台ごとに違うのは何故か、とても不思議に思っていました…」

 それで、逆にビックリ、私の目からウロコが落ちました。
 そうか、西洋音楽の素養しかない方は、日本の伝統音楽を鑑賞するのに、洋楽の物差しでもって鑑賞なさるのだ!

 日本の学校教育では、私が小学生だった昭和40年代から既にドレミファ…の、12音階で奏でる音楽しか教えていませんが、20世紀の子どもたちの身の回りには日本の伝統、古典から根差した文化が多数、空気のように存在しておりました。
 21世紀の現在、純正、まじりっけなしの洋楽体験しかない環境で育った方々はそのように感じてしまうのか、と、ガリレオ・ガリレイが天動説をくつがえす論説を聴いた16世紀の教会の方々のように、眼が点になり、…そして、これは是非とも地動説を流布せねばなるまい…! 
 と、新たに、発想がマイノリティな領域に肩入れする向こう意気、血汐がよみがえってきたのです。

 三味線は絶対音ではなく、相対音で奏でる世界です…と、中学校の三味線の授業で忘れずにお伝えしています。
 また、左脳で論理的に整えられた音楽ではなく、右脳の情緒・感情を豊かにたもつ音色:おんしょくが特徴であるともお教えしております。
 コンピュータの機械的な音階では、人間の精神を和らげ、安らげることは不可能ではないかと、ずっと考えておりました。

 こころ深き季節…秋から冬へ身支度を調えるシーズン、ぜひ三味線の深い音色:ねいろで、スピリット、マインド、ソウル…をやわらげて頂きたいなぁ…と、とげとげしい世相に接するたび感じます。

 さて、7月に当ブログでもお伝えいたしましたワンコインで三味線を弾けるところ“しもきた三味線プレイス”ご好評によりまして、西池袋稽古場でも開催いたしますこととなりました。

 場所は、池袋西口から乱歩通りを西へ西へ直進、山手通りを目指します。北条氏にゆかりのミツウロコ紋も印象的な祥雲寺が右手に見えますればもうすぐ、伝統工芸士で三味線づくりの名手であるご店主のマニアックなお話も愉しい柏屋楽器店の稽古場です。

 お散歩がてらではなく、一刻も早く三味線に触りたい!!!と、気がせく方には営団地下鉄有楽町線・副都心線の要町駅からお越しくださいませ。目の前です。
 木曜日に開催しております。完全予約制です。電話03-3468-0330へご連絡くださいませ。

 【にしいけ三味線プレイス】の詳しいご利用法は、しもきた三味線プレイスのホームページをご覧くださいませ。

https://shami-place.com/

 ご来駕いただけましたら、今節めっきり少なくなった気の利いた和食屋さん情報もお伝えいたします…(o^―^o)

 【追記】
もちろん、普通に着実にお稽古なさりたい皆さま向けに、通常のお稽古も致します。
入門ご希望の皆さま、広く募っておりますので、ご連絡下さいませ。
電話:03-3468-0330 (三四郎は、オー三味おう、です)
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和の音色ライブのご案内

2022年09月19日 22時23分55秒 | お知らせ
早いもので9月ももうお彼岸です。
今週末、25日(日)、吉祥寺で邦楽大会がございます。
箏曲、尺八、長唄など十二番をお愉しみ頂けます。
木戸は無料で、お出入り自由ですが、感染症対策へのご協力をお願いしております。

当杵徳社中は、古典長唄「島千歳(しまのせんざい)」、同じく「蜘蛛拍子舞(くものひょうしまい)」をお囃子入りの演奏で出演いたします。
我がFAVORITEな名曲、蜘蛛拍子舞の内容に関しましては愚ブログ2015年3月23日付「それは蜘蛛拍子舞から始まった」をご参照頂けましたら幸甚です。

近年、大和屋が舞台でかける歌舞伎の一番組は現代のご見物衆を慮って、説明が多いような気が致します。私が昔観た歌舞伎舞踊の蜘蛛拍子舞は、もっと官能的でスピーディで、二十歳前後の婦女子のハートを理屈抜きにむんずと捕まえた、圧倒的面白さでした。
和のオーケストラbox(!)におわした地方の先生方はどなただったのか…



川崎浮世絵ギャラリー(斎藤文夫コレクション)にて今夏開催されました、月岡芳年の特集、私も参じまして、土蜘蛛ちゃん(杉浦茂のキャラクターみたいで可愛い‼️)の名刺サイズカレンダーを頂戴して参りました。
ありがとうございます(。ノuωu)ノ

…個人的なごたくは扠措き、
ご来場を一同、首を長くしてお待ち申し上げております。
当日のプログラムより、武蔵野邦楽連盟 会長 杵屋徳衛のご挨拶文を転載いたします。
併せてご一読賜れますれば嬉しゅうございます。



ロストワールド       会長・杵屋 徳衛

この国のふくよかな四季の変化の中に生きてゆくからこそ湧いてくる季節ごとの共通の情念から生まれてくる感性が、情緒・風情・粋などの感性です。

江戸庶民貧富の差さえ超えられる美への共感を育て、世界中で類い稀な庶民文化を開花させて芸術の領域へと昇華させてしまいました。

そのことを知ってか知らずか、明治開国以来、連綿と受け継がれてきてしまった外国に対するコンプレックスが、西洋理論での教育を優先し、この国の人が感情を理解する余裕もチャンスも与えられぬまま、西洋発想一辺倒を助長させてしまい、この国独特の感性を抑え込んでしまいました。

この国に住んできた人々に相応しいのは「理屈では割り切れない感覚の存在」なのではないでしょうか?

洋楽だけだと偏りがあるため、平成四年から、中学校でも邦楽、長唄の時間が設けられました。

洋楽の理論どおりの演奏だけだと、日本音楽の世界と遭遇した時、洋楽のリズムに馴染まない唄や、演奏速度が一旦ゆっくりになって次に別速度になる時に戸惑い、99%聞かれるのが『その休みは何拍ですか?』という問。伸びてるだけで「拍」は無いのでフェルマータでもないのですがメトロノームにはまらないから理解できないんです。

カウントや理屈だけでなく、もっとアナログで不揃いのようでいながら経験則でわかれば同じ拍子になる経験値を経て習得するもので、西洋理論も大切にしつつ、こうした「経験」からしか得られない右脳発想教育も用いられるようになればと強く思うこの頃です。

本日の演奏はそうした感性で作られた曲などを、今の感性と混在しつつ理解しようとして勉強を続けている最中の一コマです。
どうか皆様、この国の美的感性を応援してください。


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日本の調べ~演奏会ニュース

2022年05月29日 09時19分55秒 | お知らせ
 来る次週末6月5日の日曜日、小田急線・成城学園駅北口ほど近い、成城ホールにて、邦楽演奏会があります。
 主催は世田谷邦楽研究会、恒例の年に一度の三味線を主体にした和楽器によるライブです。

 長引くコロナ禍のため、今年度も開催が危ぶまれておりましたが、区教育委員会関係各方面の皆さまのご尽力によりまして、開催にこぎつけました。
 楽屋用施設がコロナワクチン予防接種会場となる非常時でございまして、参加社中も規模縮小の演奏会となっております。
 今回は、長唄、小唄、新内、筝曲などがお聴き頂けます。
  入場は無料、お出入りは自由ですが、新型コロナウイルス感染防止対策を講じて上演いたします。座席は一つ置きの雁木…千鳥…市松模様状に、ご利用下さいませ。
 また、マスク着用にてのご入場をお願いしております。
 開演は12時半、終演は16時半ごろを予定しております。

 当杵徳社中は、つい先ごろ真っ二つに割れて話題になりました下野国、栃木県那須の殺生石の伝説をテーマにしました古典長唄『三国妖狐物語~さんごくようこものがたり』下の巻「那須野~なすの」、
 すがやかな七夕の風景を情緒的に描いた古典長唄「五色絲~ごしきのいと」、
 平成元年に新作舞踊のために作曲されました現代曲『吉祥天女伝説~きっしょうてんにょでんせつ』より上の巻「白羽の矢~しらはのや」
にて、御目文字仕ります。
 ご来場をお待ちしております。

 プログラム中、わが杵徳会家元が、ご挨拶の辞を述べております。
 文化・芸術に携わる者として、私も肝に銘じつつ、また皆さまにもご紹介いたしたく、ここに転載いたします。


《心外無別法-しんがいむべっぽう》
    心の他に方法はなし

  世田谷邦楽研究会 会長 杵屋 徳衛

 いま世界は「戦争」という、心の荒廃から招く、人類にとって最悪の選択へと向かっております。
 文化が栄えると戦争は起きません。
 戦で荒廃した心の人々を救うものこそが文化です。

 文化の多くは経済的には採算が取れません。

 片や、経済ばかりでは心の疲弊を招き、ひいてはそうした心が戦争に駆り立てます。そこが「文化と経済は車の両輪」と言われる所以です。

 国々を見渡せば、ニュースなどで飛び込んでくる痛ましい映像の奥に映される、生活環境が垣間見える荒涼たる国々などがまだ多くあり、そうした場所で豊富な文化を醸成するのは容易なことではありません。
 だから戦ばかりが起きるのです。

 国によっては前政権の文化を破壊して新しい政権を作るという暴挙で成り立っている国も見受けられます。

 その様な中、追い打ちをかけているのがコロナ禍です。コロナは文化を戦争のごとくに破壊しております。
 こうした時にこそ、精神性の高い修養を積んで文化の灯を守ることこそ、文化人の務めでもあり、戦争をなくして行ける力となるエネルギーとなります。
 我々は文化の灯を守ります。



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名付けますれば…スリーブロック演奏会

2021年10月16日 12時27分15秒 | お知らせ
おはようございます。
雨模様の新暦10月半ば、明日午後1時開演の演奏会のご案内を申し上げます。

ところは京王井の頭線・JR 吉祥寺駅 南口より徒歩2分ほどの、
マルイ百貨店東隣の、武蔵野公会堂です。

コロナ禍下における感染症対策を、皆さまのご協力を賜り乍ら執り行い、開演の運びと致したく存じます。
昨年からこの春まで三期分が中止となりました、武蔵野邦楽連盟、久々の演奏会です。

一、尺八
ニ、箏曲
三、長唄

の、3分野の邦楽を、15分の換気休憩をはさみ、
3ブロックに分けて9曲ほどをおたのしみ頂けます。
終演は午後3時40分頃を予定しております。

当杵徳社中は、長唄の古典曲「安宅松/あたかのまつ」、
流儀祖の三世杵屋勝吉作曲「菅公/かんこう」にて御目文字、仕(つかまつ)ります。



木戸無料にて、お出入り自由ですが、
ご入場の際、検温・消毒、必要事項を問診票にご記入頂きます。
ドレスコードはマスクご着用にて、お願い致します。
何とぞよろしくお願い申し上げます。
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6月6日に…

2021年06月03日 15時02分55秒 | お知らせ
 昨年は中止となりました、世田谷邦楽研究会の年に一度の演奏会。
 今年も開催が危ぶまれておりましたが、会場の成城ホールが開場されるとのことで、嬉しく久方ぶりの演奏会となります。
 生憎、いつも楽屋としてお借りしている施設が、今年はコロナワクチン接種場として使用されるため、会の規模を縮小して行います。
 長唄は三社中が出曲いたします。お囃子入りです。
 御用とお急ぎなくば、どうぞお越しください。
 ドレスコードはマスク着用にて、お願い申し上げます。
 お待ちしております。

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長唄絵合せ【リモート編】風流船揃

2020年09月27日 23時35分10秒 | お知らせ
 さて、通年行事たる年内の演奏会はことごとく中止となりまして、何となく心のうちにウロを抱えたような…心もとない秋は来にけり…という中途半端な令和2年9月。

 当ブログでも以前ご紹介いたしました、浮世絵と長唄のコラボライブの企画で、東京都の「アートにエールを!」動画配信プロジェクトに応募いたしました。
 このたび有難いことに、無事採択されサイトに公開されましたので、リモート版「長唄絵合せ」を、皆さまにお届けいたしたく、ご高覧賜れますれば、うれしく存じます。

 お聞きいただきます長唄は「風流船揃(ふうりゅうふなぞろい)」の、抜粋演奏です。
 幕末のペリー来航から3年後の1856(安政三)年二月、二世杵屋勝三郎による作曲作品です。
 1853(嘉永六)年九月、幕府は大船建造の禁令を解き、堰き止められていた奔流が怒涛をうって流るるが如く、開国へ、諸外国との交易・条約締結へと舵を切ります。
 そのような時代背景でありながら(あるからこそ?)、長閑な江戸の掘割や隅田川を行き交う猪牙(ちょき)、荷足(にたり)、網引く漁船、花見の屋形船など、庶民の太平を描く曲が作られたのは、実に興味深いことです。

 今回ご覧いただきます浮世絵は、横山實コレクションのうちより、
  鈴木春信 ◆ 『風流江戸八景 両国橋夕照』(瀟湘八景にちなんだ見立て絵)
  歌川豊春 ◆ 『江戸名所両国の図(花火大会)』(浮絵)
  鳥居清長 ◆ 『見南美十二候 四月』(中判) 御殿山から品川沖の景色
  鳥文斎栄之 ◆ 『隅田川の舟遊び』(大判の五枚続き)
  渓斎英泉 ◆ 『江戸八景 両国橋の夕照』(大判の三枚続き)
  歌川廣重 ◆ 『東都名所 日本橋之白雨』
  葛飾北斎 ◆ 『富嶽三十六景 御厩河岸より両国橋夕陽見』
 以上、制作年代順に表記いたしました。
 横山先生が、風流船揃の歌詞に合わせて選んで下さった、選りすぐりの名品揃いです。

 演奏は、唄:杵屋徳衛、三味線:杵屋徳桜、杵屋徳衛。
 撮影は、深堀篤。
 動画編集は、わが杵徳社中の若手ホープ・鈴木翔媛くんです。
 
https://cheerforart.jp/detail/6833

 風流船揃の歌詞は絵の邪魔になるので、字幕を入れておりません。
 ご参考までに、演奏部分の歌詞をご紹介いたします。

    風流船揃
  …見渡せば 海原遠く 真帆片帆
  行き交う船の数々は かすみの浦に見え隠れ
  白波寄する磯近く 千鳥カモメの浮き姿
  網引く舟や釣り舟の みな漕ぎ連れて往き通う
  眺め のどけき春景色

  …月よ花よと 漕ぎ出だす
  屋形屋根船 猪牙 荷足り
  御厩隅田の渡し舟 
  遥か向こうを 竹屋と呼ぶ声に
  山谷の堀を乗り出だす 恋の関屋の里近く
  花見の舟の向島 軒をならべし屋根船の
  簾のうちの爪弾きは…

  佃 佃と急いで押せば
  また上手から 二挺三味線 弾き連れて
  様は山谷の三日月様よ 
  宵にちらりと見たばかり しょんがいな
  負けず劣らぬ 往き合いの
  船の横から三筋の糸に
  二挺鼓を 打つやうつつの 浪の舟…

  
 YouTubeのサイトでもご覧いただけます。



 何かと心惑うことの多いコロナ禍を、幕末の世情に流されながらも生き抜いた庶民の暮らしぶりに思いを馳せ、令和を生きる心の糧として頂けましたなら、これにすぎるよろこびはございません。
 

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和をつむぐ

2020年09月05日 07時40分22秒 | お知らせ
 世の中の発想の基本的な立脚点が、日本の慣習でできていた20世紀とはだいぶかけ離れてきたなぁ…と、実感する事どもをつらつらと書き連ねてまいりましたが、思いがけないところから、これでもか…と放射されますと、言葉を失います。

 たとえば、プロ仕様の三味線は、欧米の、ピアノのようにスタンウェイ…などのようなブランド品があるわけではありません。
 自分が代々お世話になっている三味線屋さんや、お気に入りの三味線屋さんがあって、いつもそこにお願いしています。
 現代の感覚ですと、三味線屋さん=三味線を売るところ、と思っている方が多いですが、わたくし共の感覚では、三味線屋さんは、三味線を拵えてくださるところ、です。

 また、ヴァイオリンのストラディバリ…のように、古えのギルドマークが重用されるということもありません。
 三味線は古くなると音が枯れるのです。楽器ですが道具ですので消耗品です。
 また江戸時代からの職人気質というものがあって、自分の作に個人の銘を入れることはありません。無銘が誇りでもあるのです。
 自分の技術は自分一人のものではなく、先人の知識と技の集大成です。

 楽器に限りませんが、日本の文化を支えているものは、個人経営の零細企業なのです。
 現行の社会の仕組み・情勢から鑑みるに、日本の文化は絶滅危惧種ではなく、すでに滅んでいるのではないでしょうかねぇ…

 …などと思いながらも、我らがDNAが、やわらぎ、やすらぐ、古典邦楽を、このような殺伐とした時代であるからこそ、お伝えしたく、本日は実に…半年以上の空白期を越えましてご案内申し上げます。

  【和を紡ぐ邦楽と舞踊】
 令和2年 9月6日 今週末の日曜日です。
 武蔵野公会堂ホール 吉祥寺駅南口徒歩2分 〇I〇I東どなりです。
 開演12時  会場は午前11時半です。

 第1部 12時~長唄舞踊 老松/惜しむ春/ペーパードール/蓬莱
 第2部 13時15分ごろ~邦楽と舞踊 筝曲・千鳥の曲/尺八本曲・越後明暗寺伝三谷/大和楽舞踊・江戸の祭/清元舞踊・玉兎/大和楽舞踊・扇売り
 第3部 14時50分ごろ~邦楽 地歌・夕顔/長唄・勧進帳
 第4部 15時40分ごろ~舞踊 地歌舞踊・八千代獅子/長唄舞踊・供奴/長唄舞踊・秋の色種

 各部の間に、15~20分の換気休憩時間がございます。
終演は16時30分を予定しております。

立方は武蔵野日本舞踊連盟、地方は武蔵野邦楽連盟でおおくりいたします。
 主管は上記2団体、武蔵野市民芸術文化協会、武蔵野市教育委員会の共催です。

 入場は無料ですが、関係各省庁のご指導を受けまして、入場者全員に検温と問診票の記入、マスクの着用が必要となります。
 ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
 また、各部ごとに換気の時間を設けさせていただき、劇場内の環境保全に努めます。
 客席は前後左右チドリにて設営させていただきます。
 劇場内での飲食はご遠慮願います。

 皆さまの愉しみとなります、心安らぐひと時を紡ぎだせますよう、さまざまに配慮しつつ勤めます。
 ご来場をお待ちしております。
 ありがとうございます。
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九夏三伏の暑き日は…♪

2020年07月25日 09時24分16秒 | お知らせ
 鳥の声に目覚める季節が過ぎる。
 早朝、靄にかすむ雑木林からアブラゼミの鳴き声が聞こえてくる。関東者には夏本番のお知らせだ。
 8時を過ぎた頃になると、さぁ、今日もこれから幕開きですよ、と、劇場の1ベルともおぼゆるミンミンゼミが騒ぎ出す。数日前から、夕暮れ時の涼風に乗って、ヒグラシが鳴き始めた。通常運転なら、世界中が夏休み。

 以前、一の字騒動なる記憶をご紹介したが、50年余の時を経て、ついに、決着した。
 正解は、「考え無しに迂闊なことをするな」。
 それに気がついたのは、遅れたこと30年、吉川英治原作・大河ドラマ「太平記」足利高氏・青春グラフィティ的エピソードにての、無口な苦労人・緒形拳as足利貞氏の顔を見ていたときのこと。
 それが我が小学一年生の折の、担任の先生のお教えだったのだろう。
 至極当たり前で単純なことだけれど、上の空に生きているのが習い性のような人間には、気づきにくい基本的な事柄である。

 明日は令和二年では、水無月六日。六月六日である。
 六月五日に於いても雨がざぁざぁ降ってきて、雨にけぶる武蔵野の雑木林は、一転、カラスの声に満たされた。
 恒例の、稽古始めイベントを、今年は夏を諦めたように、粛々と、必要な方だけに行いたいと思う。

 さて、
 長らく、不定期の状態になっておりました吉祥寺稽古場ですが、水曜日の夕刻4時から晩の8時まで、
 ご町内の音楽スタジオにて、定期的に教室を再開することにいたしました。
 人間にとってのアミューズメントは不要不急ではない、という価値観をお持ちの方にお越しいただけましたなら、この上もなく嬉しく存じます。
 吉祥寺駅から数分のごく静かなところです。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。


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あたま山競演録

2020年03月12日 00時35分15秒 | お知らせ
 本日、第11回 Waライブ両国亭が開催されます。
 正午開場、12時15分開演、14時終演予定です。木戸は500円です。

 番組は当初予定されていたものと若干変更がございます。以下が本日の番組です。
 1.篠笛独奏『さくら in ブルー』笛:福原清彦
 2.落語『あたま山』落語:林家時蔵 お囃子:福岡民江 鳴物:福原庸子、望月実加子 笛:福原清彦
 3.よもやま噺『寄席囃子』福岡民江、林家時蔵
 4.長唄『あたま山』弾き唄い:杵屋徳衛 打物:望月庸子、福原千鶴、望月実加子 笛:藤舎理生

 長唄のあたま山をご存知の方は、えっ…!?と、驚かれたことと存じます。
 ひとり三味線オペラのような塩梅になっております。乞うご期待。

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初春の邦楽寄席

2020年01月07日 01時07分08秒 | お知らせ
 令和時代、最初のお正月。
 街頭で往き違った老婦人の「今年はどんな年になるんでしょうね…」という嬉しそうな話し声を耳にし、そのお元気で朗らかなお声がまぶしいというか、うらやましいというか…(しっかりせよ、自分)。

 年を重ね、生きることに倦んだわけではありませんが、どういうわけでしょう、新年を寿ぐ思いよりも、時代に対する違和感が。
 2020とは、SF小説、近未来映画の中に存在する暗号のようなものではなかろうか…いまだに、見慣れないカレンダーの表記。

 昔、巷説にては、寄席(落語? お笑い?)が流行るときは、不況である、と言われておりました。
 確かに、不況なのでありましょう。このところ、自営業の各方面からの方々の廃業のお知らせが夥しく……
 庶民が肌で感じることには真実があるのです。国の経営は虚構ではなく、事実に基づいて行って欲しいものであります。

 さて、年寄り一人が力んでみてもどうなるものでもあるまい…と雷蔵の眠狂四郎にすげなく躱された加藤嘉のお奉行さまのように些かシュン…としつつ、大繁盛の落語の定席にあやかりたいとの気持ちを込めて、ご案内申し上げます。

 来る1月9日木曜日、お江戸両国亭にて、第10回を重ねます和ライブ寄席がございます。
 席料500円にて、尺八、箏曲、能楽、長唄、三味線、お囃子、幸若舞…などなどがおたのしみいただけます。
 昼12時15分から午後2時ごろまで上演いたします、ランチ寄席です。

 大相撲初場所の準備で賑わう両国界隈散策と合わせまして、ぜひお越しくださいませ。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 
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思索する富士山…(邦楽大会ダョ!)

2019年09月28日 11時03分03秒 | お知らせ
 お彼岸の富士山をフリサケミレバ…なにやら漫画の…我思うフキダシ状の雲が生まれ出でております。

 さてさて、お知らせの季節がやって参りました。

 今週末、9月29日、日曜日。
 開演13時。
 吉祥寺南口徒歩2分の、武蔵野公会堂にて、邦楽大会がございます。

 入場無料にて、箏や三味線、尺八の楽曲をお楽しみただけます。(もちろん長唄も!!)
 番組は全13番、

 特別企画として、2時半ごろ
 「不完全楽器の愉しみ」お話と演奏を、杵屋徳衛が相勤めます。
 日本独自の文化・発想から誕生した楽器・三味線のこと、日本固有の音楽の魅力についてお話しいたします。

 上演中17時まで、会場はお出入り自由ですので、お好きな演奏をおたのしみくださいませ。
 
 詳しい番組内容につきましては、杵屋徳衛のホームページをご覧下さいませ。
 よろしくお願い申し上げます。
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白昼のゆかたまつり

2019年08月08日 08時00分23秒 | お知らせ
 残暑お見舞い申し上げます。
 本日、Waライブ両国亭がございます。
 今回は、浴衣まつりと題しまして、大井町の芸者衆のお座敷の愉しみ、着物を裁断しないでドレスとして着付けた折り紙ドレス着用の舞によるファッションショーを、これまた笛や太鼓、三味線で賑々しくお届けします。
 杵屋正邦作品の「太鼓の曲」もお聞きいただけます。

 酷暑の夏も涼やかに、ぜひお越しくださいませ。
 お待ちしております。
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ハートに唄もて

2019年07月14日 12時02分30秒 | お知らせ
 本気で観光立国を目論んでいるのなら、日本人はもっと自国の文化を知らなきゃなりません。
 わざわざ外国から、この極東の小さい島国を訪れるからには、プチ西洋文化だったり、イエローモンキー的人真似エセ文化だったりするような文物を観たい…どうしても見たい!!……なぞと思うはずがありません。

 日本のよいところは、この過酷な自然環境(地震、カミナリ、火事…etc.)で生命の存続に脅かされながらも、朗らかに前向きに生きることを忘れない、心根の明るさとあっさりした達観、それにより長い年月積み上げてきた、文化的文物および技術の素晴らしさです。

 昨日今日、近代化した圧倒的物量に支配された横文字の発想でない、こまごまとした日常からあふれ出す情緒豊かな文物の数々。
 人間の細やかな神経、精神力から生み出された美しいものたち。
 だって、人間って、どんなに文明が進んでも、人間自身を生かし育てるのは、結局、口から摂取する食物によるエネルギーであって、その食べ物は、仮想世界ではぐくまれたものじゃなくて、一つ一つ人力で賄っているわけですからね。
 いかにコンピュータで制御されようとも、一個の人間が日々営む細かい作業あってこその、わたくしたちなんですね。

 巨大なものを形作るのは、小さい細胞なのです。

 さて、横に逸れましたが、そんなわけで、日本文化の奥深く豊饒なことと言ったら、付け焼刃で身につくものではありません。
 日本の歴史丸ごとが、能・狂言、歌舞伎、文楽、美術、音楽etc.に生かされて、今日の日本文化が出来上がっているわけですから、日本の藝術を理解したいなぁ…と思ったら、日本の歴史を知ればいいわけですから、そんな難しいことじゃないのです。
 
 サブカルで出来ているような私でさえ、昭和の学校でスタンダードな日本文化を教わってきたから、古文・古典で出来ている、伝統芸能にすぐスライドできたのです。
(いや、学校ばかりでなく、じいさんばあさん、叔父叔母、町内会や子供会…今のようにスカスカな人間関係ではなく、うっとおしいことも多々ありましたが、日常展開する人間関係のあやというものが、子どもの知識と経験を育てていったのではなかろうかと思います)
 
 令和となって、万葉集ブームが一時あったようですが、なんで今更…といぶかしく思ったのが、昭和の小学校に行っていた者たちでした。だって教科書で、習ったもん。基本中の基本です。万葉集だの、古今和歌集だの。源氏物語だの枕草子だの、土佐日記だの伊勢物語だの。方丈記だの、平家物語だの。古事記だの日本書紀だの。

 ですから、改めて、子供の時から自然と分かるように、日本の歴史をよくよく教え伝えたほうがよいのです。
 それぞれの自分が育った時代の政治的思惑からの、世代のバイアスは取り除いて、負の歴史ばかりとらえることなく…自虐的になることなく、普通の歴史をコンスタントに、客観的に教えなくちゃ、偏ります。
 偏っていた立脚点であったことも、両サイドの視点から教えないと、永遠に偏ったままで、外国からああだこうだと非難されたときに、論破できなくなります。
 両サイドからの観点を知るのと同時に、では自分はどういうことに拠って立つのか、ということも考え学ばないと、ただの物見高い野次馬になってしまいます。

 子どもの時から知っていれば、日本の文化はそんなに遠いものであるはずがありません。
 ブレイクダンスを必修にするよりは、仕舞を必修にするべきなのです。
 古典の美しい言葉を、意味が分からずとも音から身に着ければ(だいたい英語の音楽だって意味が分からずとも音から歌ったりしているではありませんか)、立派に観光立国の独自の余興となりましょう。

 さて、そんなわけで、歌唱法というと欧米の歌い方ばかり学校で教えるので、ミュージカルやオペラしか思い浮かばない方もいらっしゃるのかもしれませんが、
 日本には、日本の歌唱法があります。
 それを学ぶには、お謡いもありましょうが、わたくしは誰?

 …というわけで、長唄の唄い方をぜひ、体験、習得なさってくださいませ。
 ただいま、杵徳会で家元の唄稽古、新シーズンのプロジェクト、受講生募集中です。
 7月第3土曜日、20日13時より、下北沢稽古場にて始まります。
(中級以上の方には、同日17時よりの「汐汲」講座がおススメです)
 
 西洋式では、眉間の間から声を出す、ということをよく聞きますが、日本は真逆でお腹から出します。
 日本列島の宿命として、いつ襲われるか分からない天変地異、というものがございます。
 自分が踏みとどまる大地がいかようになろうとも、本質を見失うことなく、心安らぐ落ち着きの文化、というものが日本にははぐくまれたのです。

 女性が高い音を出せるのは当然で、低音部を出せるのが女声としての自慢、また、男声は、美しく伸びやかな高音部を出せるのが自慢。
 …というのが、長唄における美学でもあったのです。
 
 
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梅雨時の和楽器ライブ(ディスカバリー伝統邦楽)

2019年06月15日 07時00分14秒 | お知らせ
 この極東の地の自然の摂理として、梅雨時に雨が降るのは本寸法。
 …ですが、21世紀になってから気候も欧米化したのか、激烈な振幅度で、ひ弱な人間としては体に堪えます。

 皆さま、お体を大切になさって、日本列島ならではの気候・風土のもと、無理なく発生した古来の文化に親しみ、英気を養ってくださいませ。

 きたる6月16日日曜日(今週末です)、
 小田急線・成城学園前駅 北側徒歩2分 の、
 成城ホールにて、無料公演です。
 午後1時開演です。

 長唄(三味線と唄と囃子)、箏曲(13絃の琴)、小唄(三味線と唄)、
 清元(三味線と浄瑠璃)、新内(三味線と浄瑠璃)、常磐津(三味線と浄瑠璃)、
 笛(能管、篠笛etc.)
 …などをお聞きいただけます。

今公演では、世田谷邦楽研究会企画番組として、
「調絃と口三味線のお話」お話と実演を、杵屋徳衛がいたします。
(午後3時前後の番組です)

 我が杵徳社中は、
 初番の「水仙丹前」:初演は、江戸時代中頃の寛延~宝暦年間(1750頃:文献により1749と1755説あり)
         江戸(文献により中村座と市村座あり)で、
         上方の歌舞伎役者・中村粂太郎が、江戸下りの折に京土産の舞踊番組「京人形五変化」
         (丹前・花笠踊・傾城・槍踊・猩々)で大当たりをとりました。
         その五変化中の丹前と槍踊りを一つの曲にした舞踊曲です。
    元禄風のおおどかで、春風駘蕩とした味が面白い曲です。
    繰り返し遊び風の歌詞も、耳について離れません(助けて…!)

 そしてラストの「勝三郎連獅子」にて御目文字仕ります。

 今公演に出曲いたします長唄曲本来の、すべてにお囃子がついております本寸法、理想的な演奏形態でおとどけいたします。
 ハツラツ、颯爽とした愉快痛快な長唄の醍醐味をご堪能いただけますよう頑張ります。

 終演は午後6時を予定しております。
 お待ちしております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 
 
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