坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

日曜美術館の森村泰昌「レクイエム」展

2010年04月26日 | 展覧会
マリリン・モンローやモナリザに扮し撮影するセルフポートレイト作品で知られる森村泰昌氏が、東京都写真美術館で5月9日まで「なにものかへのレクイエムー戦場の頂上の芸術」を開催している。晩年のパブロ・ピカソやレーニンの革命的な演説のシーンなど、具体的に組み立てられる経緯が、NHKの「日曜美術館」で紹介され、森村氏の人物像に迫る秀逸な内容だった。20世紀に登場した革命的人物や事象を自ら扮することで検証しようとする視点は一貫しているが、高踏的ものではなくどこかユーモラスな点も引き込む要素だ。森村氏は関西人である。「もう展覧会を見てしもうたような、それはあかん」


あいちトリエンナーレ2010への期待

2010年04月26日 | 展覧会
横浜トリエンナーレを始めとして、大小の規模を含めるとアートの国際展が定着した感があるが、今年の目玉は「あいちトリエンナーレ2010」であろう。〈都市の祝祭ーー〉をテーマに現代アートを中心にダンス、演劇、音楽などの垣根を越えて先鋭的なパフォーミングアーツも積極的に取り込むという。8月21日から10月31日までの開催。愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、長者町地区を拠点として、大規模なインスタレーション、映像、音楽、演劇と第一線で活躍するアーティストが集う。芸術監督は国立国際美術館館長の建畠氏。出品予定作家は、草間弥生、西野達、蔡国強氏らを筆頭に国際展ではおなじみの顔ぶれがそろう。都市空間にいかにダイレクトにアートがこだまするか、取材にはいきたいと思っているが、その中で注目したいのが、舞台公演のヤン・ファーブル、チェルフィッシュ、平田オリザ他が上演予定されていることだ。これは日程をチェックすることが必要。そして現代アートに触れたことのない方々も2か月超の期間内に同時代のアート体験をして頂きたい。名古屋は、豊田市美術館、本展の会場となる名古屋市美術館など現代アートの先鋭的企画を多く取り入れてきた地盤がある。ある意味経済の中心としても国際的に知られる名古屋での国際展を大いに期待したい。詳細な内容は→http://aichitriennale.jp/