ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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2022年の終わりに

2022-12-31 22:40:15 | 時事


前ローマ法皇ベネディクト16世が亡くなったというニュースがありました。

年末になって、また一つ大きな訃報です。

最近このブログでは今年の訃報というのを書いてきましたが、国際政治の世界でもその種の話題がありました。たとえば英国のエリザベス女王であり、本邦の安倍元総理……このお二方については、このブログでも記事を書きました。
しかし、これもまた、あらためて振り返ってみるとほかにも大きな話題がありました。今年最後の記事として、特に印象に残っている件について書いておこうと思います。

ゴルバチョフ元大統領。
ゴルビーさん。
ソビエト連邦最初の、そして最後の、ゆえに唯一の大統領でした。
ペレストロイカ、グラスノスチ……と、民主化の方向性を進めた大統領と一般に評されているでしょう。
そういう人なので、プーチン大統領には批判的でした。NATO拡大に対する危機感は共有していたものの、今年のウクライナ侵攻には反対していました。プーチン大統領が先輩の意見にきちんと耳を傾けていれば、ロシアも今のような状態に陥らずにすんでいたことでしょう。
ちなみに、ソ連大統領として訪日した際の会談相手だった海部俊樹元総理も、今年亡くなりました。これも奇縁でしょうか。


江沢民元中国国家主席。
鄧小平の改革開放路線を引き継ぎ、中国が現在の大国となる礎を築いた指導者といえるでしょう。
比較の問題とはいえ、独裁者的性格を強めつつある現在の習近平に比べれば政治的にもリベラルよりだったと評されているようで……彼の死は、中国が大きな曲がり角を曲がりつつあることの象徴なのかもしれません。

この二人は、中国、ソ連という旧共産圏に君臨した二大国の転換期における指導者といえるでしょう。社会主義体制が崩壊したソ連と、まがりなりにも名目上それを維持した中国という違いはありますが……しかし、それからおよそ30年がたち、両国ともかつての抑圧的体制に戻りつつあるという印象です。すでに失敗であることが証明されているシステムへ……

ひるがえって、日本はどうでしょうか。

海部さんなんかは、戦後自民党政治がいったん限界を迎え崩壊にむかいつつあった時期の総理大臣といえるんじゃないかと思いますが……果たして、日本の政治はそのときと比べて改善されているのか。むしろ停滞、あるいは後退さえしていないか――現状そんなふうにも思えます。

明日からはまた新しい年がはじまるわけなので、閉塞的な状態が続く日本の政治にもそろそろ新しい風を吹きこませたいところです。