ロック探偵のMY GENERATION

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アフガニスタン・ペーパーズ

2019-12-29 11:52:12 | 時事


“アフガニスタン・ペーパーズ”が物議をかもしています。

アフガニスタン・ペーパーズとは、アメリカの公文書。
ワシントンポスト紙が、その文書を入手し、内容を暴露しました。

それによると、アメリカの歴代政権が、アフガン戦争を失敗と認識しながらそれを隠蔽していたというのです。
これを伝える読売新聞の記事(12月24日付朝刊)によれば、対テロ作戦の軍事顧問をつとめたボブ・グローリー陸軍大佐は「自分たちに最も都合の良いデータとなるよう、あらゆる調査結果が改ざんされていた」と証言。アフガン戦争に関して、アメリカでは印象操作が常態化し、統計数値の歪曲などを通じて失敗を隠蔽していたとしています。

さもありなんという話ではあります。

アフガニスタンについては、以前ちょっとこのブログで書きました。
かの地には、欧米の軍隊が、20年近くにわたって駐留しています。
数はときに数倍にのぼり、兵器の質に関しては天と地ほどの差がある彼らが、タリバンを制圧することができないままにアフガンから手をひこうとしているのが現状です。軍事的にうまくいっていなかったのは、当たり前といえば当たり前のことでしょう。

ただ、その失敗を国家が糊塗しようとしていたことが問題です。

国家というのは、そういうことをするものなんだという認識を国民の側が持っておかなきゃいけないと思いますね。特に戦争中には……
戦争というのはある種の異常事態なので、国家は、情報を捻じ曲げたりといったことをやるようになる。“大本営発表”を、真に受けてはいけないんです。

それにしても、そういう文書が残されていて、メディアがそれを探り当ててくるということには、アメリカ社会に一定の敬意を表したいと思います。
今回の文書は、かつての「ペンタゴン・ペーパーズ」になぞらえて「アフガニスタン・ペーパーズ」と呼ばれているわけですが、ポスト紙は情報公開請求や法廷闘争を通じ、執念でこの文書を入手しました。アメリカのメディアがすぐれているとは決して思いませんが、このスクープはジャーナリストとしての矜持を示したものとして評価に値します。
その出発点には、政府の起こした無茶苦茶な戦争と失敗の隠蔽があるわけですが……少なくとも、文書が大量に焼き捨てられたとか破棄されているなんていうのに比べれば、はるかにましでしょう。