71話 万物の霊長 （アーロンパーク-3）

ウソップの心配は的中していた。
ゾロは体を拘束された身で、アーロンに向かって「だから女を一人探してるっつってんだろ!!!半魚野郎!!!」と思いっきり挑発していた。




アーロンは、「下等な人間が半魚ってのは二度と口にするな!おれ達"魚人"は海での呼吸法を身につけた"人間の進化形"で、てめぇらより上等な存在なのよ。人間が魚人に逆らうってのは、"自然の摂理に逆らう"も同然だ!!!」とゾロに釘を刺した。

ゾロがそれに反論しかけた時、アーロンの後ろからナミが姿を現し、事態をつかめないゾロに本性を語った。
「今回はこいつらからお宝を巻き上げさせてもらったの。驚いた?私はアーロン一味の幹部。もともと海賊なの。」
「これがテメェの本性か?」と、ゾロの顔が怒りに変わった。




ゾロとナミのやりとりを見ていたアーロンが、「シャハハハ!まんまと騙されたか!こいつは金の為なら、親の死さえも忘れることのできる冷血な魔女の様な女さ!!」と愉快そうに笑った。
親の死を忘れる・・・。それを聞いたナミの顔が、一瞬悲痛をかみ殺したのを、ゾロは見逃さなかった。





「なるほどね・・・まぁオレはもともとお前を信用していたわけじゃねェ。殺人鬼だろうと別に驚きはしねェよ。おれはハナっから、てめェがこういうロクでもない女だと見切っていた。へへ・・・！」と言った次の瞬間、ゾロは両手足を縛られたまま、自分から海に飛び込んだ。
いくらゾロでも、手足を縛られたままでは溺れてしまう・・・。ナミはアーロン達魚人の前であったが、苦渋の顔でゾロを助けに海に飛び込んでいた。


ゾロを海から助け出したナミは、怒りの顔で「何のつもりよ・・・」とゾロに聞いた。
ゾロは「・・・・さっさと助けやがれバカ死ぬかと思ったぜ。てめェこそ何のつもりだ。人一人も見殺しにできねェような小娘が・・粋がってんじゃねェぞ!!!」と不敵に笑う。




ナミはゾロのその態度に驚いた。自分が助けに飛び込むかどうかを、命を張って確認したのだ。
それは、ナミを信用していないと出来ない事だった。


しかし、ここはアーロンパーク。ナミが、ゾロに仲間意識を持っていることがばれるとヤバイ。ナミはゾロの包帯の上から思いっきりゾロの腹に拳を叩き込み、倒れたゾロを「捕まえておいて、後で私が処分するわ」と言って立ち去った。
とりあえずこれで、ゾロはアーロンに殺されずに済む。


だが、ココヤシ村にウソップが隠れている事が、魚人達にばれていた。
ナミとゾロは、ウソップが魚人に捕まるとヤバい・・・と顔をしかめた。