20年以上前の世の中は、海賊が海を行き来し、世界政府と海軍が戦い、取り締まってはいたけれど、今のような「大海賊時代」と呼ばれる海賊の戦乱時代になったのは、海賊王が公開処刑された、約20年前の”あの時”からであった。
(”麦わらの一味”がシャボンディ諸島上陸した時から22年前。506話より)
当時の世界の海を荒らし、並み居る海賊の頂点に立ち、富、名声、力の全てを手に入れて”海賊王”と呼ばれた男「ゴール・D・ロジャー」を船長とする海賊の一味がいた。
一味は最後まで海軍に捕まることなく、いつしか人知れず解散していたいたが、解散から1年後のある日、ゴール・D・ロジャー自らが海軍に自首した。海軍は自首の事実を隠して捕まえたこととして、海賊王の生まれた町「東の海(イーストブルー)」の「ローグタウン」という島で公開処刑を行った。
世界が注目する中、海賊王は自分の首が跳ね飛ぶ一瞬前に、世界を揺るがすある「宣言」をした。
「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ・・、探してみろ、この世の全てをそこに置いてきた」
海軍が海賊達への”見せしめ”として行った公開処刑を利用して、ロジャーは残り僅かの命の火を、世界に広がる”業火”へと変えて、次の時代を作ったのだ。
この男の残した言葉が引き金となり、多くの者が海賊王の財宝を探しに、「海賊」となって海へと出ていき、海賊同士のぶつかりあいや、世界の島々での強奪や殺戮が絶えない「大海賊時代」と呼ばれる暗黒の時代へと突入していくことになる。
当時、処刑の広場に居た者の中には、ロジャーの”意志”を受け取った者もいた。
だが、20年の年月はその言葉をだんだんと風化させ、少年ルフィが海に出る頃には、昔の伝説・・・昔死んだ大海賊の残した宝がどこかに隠されてあるらしい・・・という雲を掴むような夢物語を信じる者は、ごく一部の者だけであり、たとえ信じていても口にするのは憚られる、といった具合であった。
そして年月は海賊王「ゴール・D・ロジャー」の名を、いつしか「ゴールド・ロジャー」と変えてしまっていた。
海賊王「ゴール・D・ロジャー」は、類稀な人を惹き付ける破天荒な人物であり、仲間の悪口を言われたというだけの事で、途方もない戦いを容赦しなかったが、仲間への情の厚い人物であった。
彼は、航海の途中で「ポールグリフ」と呼ばれる、破壊する事の出来ない石に古代文字で刻まれた「古代の歴史」を紐解きつつ航海を進めていたようであった。(空島編)
「ポーネグリフ」は数百年前の古の歴史を伝える唯一の遺物であり、そこに隠された歴史こそ、世界政府がどんな犠牲を払ってでも死守すべきと躍起になる「世界の絶対的秘密」であった。
800年程前に「世界政府」が誕生したのだが、その誕生前後の100年間が、歴史からすっぽりと抜け落ち、誰も知ることが出来ない、いや知る事を禁止された100年間となっていた。この100年の間に、旧世界がひっくり返るナニカがあったのだ。
結局、ロジャー海賊団は【世界の秘密】を知ったものの、時期尚早として、また病で志半ばで死にゆく者として、次世代の”意志を継ぐ者”の登場を待っていたようであった。
”その者”を海へと誘い、登場を促すのが「あの日」の公開処刑であったのだ。
ロジャーはわかっていた。意志を継ぐ者は、その名に「D」を持つ者である、ということを。
海賊王の意志を継いで、「ひとつなぎの宝(ワンピース)」を見つけだし、空白の歴史を明らかにする者の登場を待つ時代そのものが、世に言う『大海賊時代』なのである。
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・副船長”冥王レイリー”が語る海賊王の思い出:頂上戦争編-506話「ロジャーとレイリー」
・ライバル”英雄ガープ”が語る海賊王の思い出:頂上戦争編-571.572
・海賊王とポーネグリフ:空島編
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