~~はるか未来に語り継がれる伝説は、はるか昔に幕を開けたる物語~~
バギーは、かつて海賊王ゴール・D・ロジャーが死刑に処した処刑台にルフィを捉え、高らかに死刑宣言をあげた。
「罪人!モンキー・D・ルフィは"つけあがっちまって俺様を怒らせた罪"により、ハデ死刑を公開執行する!!!!!」
それぞれの買い物を終えて広場へ集まった”麦わらの一味”は、ルフィが処刑されそうになっているのを見て、驚いた。
ゾロとサンジは速攻でルフィ救出へと向かったが、ナミはウソップを連れて船へ向って走り出した。
ナミは、この島に激しい嵐が来るのを感知した上で、2人が海軍と海賊の手からルフィを救出した”その後”の事を考えていたのだ。嵐をかいくぐって、すぐに出航させる準備を整えておく必要がある、と。
海軍は、広場に「金棒のアルビダ」「道化のバギー」と「麦わらのルフィ」が揃っていることを確認したが、スモーカー大佐は「麦わらのルフィ」を知らなかった。
海兵は、先日手配されたばかりだが、しょっぱなに3000万ベリーの賞金がつく大物であることを説明した、、、が、その3000万の男が今にも殺されそうになっているのである。
スモーカー大佐は、「"麦わら"の首が飛んだら、バギー、アルビダとその一味をたたみかけろ。」と命じた。”白猟のスモーカー”と呼ばれる【悪魔の実】の能力を持つその男は、この島から海賊を逃したことがない事を自負していた。今回も失敗するはずがない。
バギーはルフィに、「(死ぬ前に)民衆に何か一言言っとくか?」と聞くと、ルフィは「おれは!!!!海賊王になる男だ!!!!!」と大絶叫した。
だが人々は、よりによってこの町で、その処刑台で"海賊王"と名乗るとは・・・と処刑台の男を嘲笑した。
しかも、よりによって、今から直後に殺されるという状況である。
バギーが剣を頭上高く振り上げた時、ゾロとサンジが「その死刑待て!!!!」と広場に乱入し、一気に戦闘状態となった。
静観していた海軍にも、「海賊狩りのゾロ」が現れた事で動揺が走った。しかも、あの「海賊狩りのゾロ」が、「麦わらの一味」に加わっているとの情報も海軍を驚愕させた。
だが広場の騒動をよそに、ルフィの頭上で、今まさにバギーのサーベルは振り下ろされようとしている。
ルフィは、ゾロ達は間に合わないと判断した。
「ゾロ!!サンジ!!ウソップ!!ナミ!!わりい、おれ死んだ」
ルフィはそう言って、満足気にニカッと笑った。
ゾロとサンジは、「バカなこと言うじゃねェ!!!」と焦り、スモーカーは、”その瞬間”にルフィが笑ったことに、衝撃を覚えた。
バギーの剣がルフィの首にかかった、まさにその時、処刑台に雷が落ち、物凄い地響きとともに、その昔海賊王が処刑されたその処刑台は燃えて崩れた。
ルフィの首に当たったバギーの剣に落ちてバギーを焼いた雷は、ルフィと麦わら帽子には一切のダメージを与えてはいなかった。
麦わら帽を拾いあげたルフィが、また笑った。
「なははは、やっぱ生きてた。もうけっ」
この様子を目にした広場の人々は、呆気にとられて静まり返った。
サンジは「・・・おいお前、神を信じるか?」とゾロに聞いたが、ゾロは「バカ言ってねェで、逃げるぞ」と現実的だった。
逃げるルフィ達を、海軍が追いかける。
しかし海賊本体を拿捕するのは、スモーカーは、しばらくその場を動けないでいた。
(なぜ笑った・・・助かる事を知っていたのか・・・違う!!あいつはあの瞬間、本気で自分の人生が"ここまでだ"と悟った。"死"を受け入れ・・・覚悟して・・・笑ったんだ!!)
スモーカーは近くにいた海兵に質問した。
「おいお前、死刑台で笑った海賊を見たことがあるか?」
海兵は「わ、笑う?どんな大物でも死の瞬間は必ず青ざめ、絶望に死すものです。」と答えたが、スモーカーは大声でかき消した。
「笑ったんだよ!!!あの麦わらの男が!!!22年前・・!!!この町の"あの"死刑台で笑った、海賊王G・ロジャーと同じ様に!!!」
スモーカーが動き出した頃、嵐は本格的な強風と大雨をもたらしていた。
たまたま処刑台に落雷したのか!?
港を警備する海軍の火薬は、この突然の大雨で全滅した。風の向きは奴等の船に追い風の西風・・・。これが全て偶然か・・・!!?まるで"天"があの男を生かそうとしてる様だ!!!
「この”白猟のスモーカー”の本部大佐の名に懸けて、あの男、絶対に島から出さねェ!!!」スモーカーが叫んだ。
スモーカーは気付いていた。
"麦わら"が、他の海賊とは違うことに。
この瞬間、スモーカーの運命もまた、大きく舵がきられる。
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