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戦況は悪化の一途を遂げていた。
海軍は「白ひげ海賊団」追撃班と、「黒ひげ海賊団」迎撃班に分けられ、総力戦が続いた。
3人の大将とセンゴク元帥とガープ、それにパシフィスタ軍団もそれぞれ最前線で戦っていた。
黒ひげは楽しげに、得たばかりの【グラグラの実】を飽きることなく撃つので、マリンフォードの島といわず海いわず、無茶苦茶に揺れ、その巨大な地震は津波となってシャボンディ諸島を襲おうとしていた。
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赤犬は、狂ったように白ひげ海賊団の生き残りを、そのマグマで焼き払っていく。
心無いパシフィスタは、光線ビームで一気に人々をなぎ払って突き進む。
その狂乱の戦闘の中、強烈な能力を持たない海兵や海賊達はぞくぞくと倒れていき、るいるいとした屍や負傷者が地面を埋め尽くしていった。
倒れた仲間に手を差し伸べた海兵は、上官に罵倒された。
「捨て置けェ!!まだ戦闘中だぞ!!海賊共を追い込めェ!!!最後の一人まで叩き潰せぇーーー!!!」
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この状況に疑問を抱く者がいた。スモーカー大佐と、たしぎと、そしてコビーだった。
スモーカーとたしぎは強烈な違和感を覚えていた。士気が下がらない、目的を果たした海軍の方が明らかに激しい戦意に突き動かされている。何かが違う!!”正義”も”悪”も・・・!!!勝ってなお、乾くばかりだ!!!
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コビーは、頭の中から”声”が一つ一つ消えていき、理由はわからないが激しい程に強い悲しみに覆われてもがき苦しんだ。
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黄ザルが、ルフィを乗せたトラファルガー・ローの潜水艦に光ビームを浴びせようとした。
その速度にローの潜水艦はついていけず、どうすることも出来ずに攻撃を喰らおうとした、まさにその時だった!!
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マリンフォード中に「そこまでだァアアア~~~~!!!」という声が響き渡ったのは。一人の下っ端海兵が、大将赤犬の前に躍り出て、海軍の動きを止めたのだ。
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その声に、黄ザルも大勢の海兵達、海賊、黒ひげまでもが一瞬動きを止めた。マリンフォードの空気が、その一瞬で一変したのだ。
海兵の声は続いた。 「もうやめましょうよ!!!もうこれ以上戦うの!!!やめましょうよ!!!命がもったいないっ!!兵士一人一人に、帰りを待つ家族がいるというのに!!!目的はもう果たしているのに!!戦意のない海賊を追いかけ、止められる戦いに欲をかいて、今手当てすれば助かる兵士を見捨てて・・・!!!
その上にまだ犠牲者を増やすなんて、今から倒れていく兵士達は・・・・・!!!まるでバカじゃないですか!!?」
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涙ながらのコビーの訴えに、赤犬が納得するわけもなく、「・・・あ?誰じゃい貴様ァ、数秒無駄にした。正しくもない兵は海軍にゃいらん!!」とそのマグマをコビーに向かって振り下ろした。
コビーは恐怖に全身が戦慄して恐怖の中に死を覚悟したが、それでも(だけど僕は自分の言いたいことを言ったんだ!)と自分のしたことに悔いはなかった。
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そのコビーを赤犬から守ったのは、四皇”赤髪のシャンクス”だった!!!
ここに来て、新世界の四皇の登場に、マリンフォードはどよめき、大将達は動きを止めた。
コビーは恐怖のあまりに泡を吹いて倒れていたが、シャンクスは優しく声をかけた。
「よくやった、若い海兵。お前が命を懸けて生み出した”勇気ある数秒”は・・・良くか悪くかたった今、”世界の運命”を大きく変えた!!」
この騒動によって、トラファルガー・ローの潜水艦は黄ザルの攻撃を寸前で回避することが出来た。ルフィを抱え込んだまま海へと沈み、黄ザルはベン・べツクマンに銃口を向けられ、潜水艦を追う事を諦めた。
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シャンクスは、ルフィが落として行った麦わら帽を拾い上げて、宣言した。
「この戦争を終わらせに来た!!!」
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