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島をあげた盛大な祝杯の宴は、幾日も幾日も続き、終わる気配はなかった。人々は、今のために生きたのだ。笑うために生きたのだからーーーー。
祝いの席から酒を1本持ち出したゲンさんは、ベルメールの墓にその酒をかけていた。
「ベルメールよ・・お前の娘達は実にたくましく、立派に育ったよ・・・。まるで生前のお前を見てるようだ・・・。我々はこれから、精一杯生きようと思う。あまりにも多くの犠牲の上に立ってしまった。だからこそ精一杯、バカみたいにな・・・笑ってやろうと思うのだ・・・!!」
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ちょうどそこに、道に迷ったルフィが通りかかり、ゲンゾウはルフィを呼び止めた。
「おい小僧よ、ナミはお前の船に乗る。・・・もしお前らがナミの笑顔を奪うような事があったら・・・、私がお前を殺しに行くぞ!!わかったな!!!!」
ルフィはその勢いに呑まれて「・・・・わかった。」とうなづいた。
ナミは、ドクターの元で、肩に入れられたアーロンの入れ墨を消そうとしていた。
8年前、アーロンに連れていかれたナミは、アーロン一味の刺青を無理矢理肩に彫られて泣いていた。海賊の烙印を押された自分を嘆くナミに、ノジコはかける言葉が見つからなかった。
そんなノジコがとったのは、自分の体にも派手な刺青を彫る事だった。
「どーってことないじゃん、こんなの飾りだもん。ナミと一緒だね!」そう言って笑ってくれた。それがノジコの刺青だった。
ナミは、ドクターにアーロンの刺青の上に、新たな刺青を彫ってくれるように頼んだ。
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一方ゾロは、鷹の目の斬られた傷をドクターに処置しなおしてもらってながら、叱られていた。
「バカモン!!お前らの船には船医もおらんのか!?」
そこはルフィの悩みどころだ。医者もいいけど、音楽家も欲しい。
そんな祝いの日々も終わりを迎え、とうとう出発の朝がきた。村の人達は全員でゴーイング・メリー号を見送りに来ていたが、肝心のナミがいない。
と、不意に村の奥からナミの声が響いた。 「船を出して!!!!」ナミはそう言うと、全力疾走で船目掛けて駆け出した。
村の人達は驚いた。
「まさかあいつ!!我々に礼も言わせず、別れも告げずに行こうというのか!?」
8年の苦労を一身に背負わせたナミにも、アーロンと命掛けで戦ってくれたルフィ達にも礼をしてもしてもし足りないというのに、さらにナミは8年かけて貯めた1億ベリーを村に置いていくと言う。
ナミは村人達の制止を聞かず、無言でするすると村人達の間をすり抜けながら疾走し、出航しだした船へと飛び乗った。
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船に乗り移ったナミは、服の中から村人みんなの財布を出して、にっと笑った。
「みんな元気でね」
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村人達は、”あの”イタズラ娘にやられた事に気づいて、怒り、そして笑った。
「いつでも帰ってこい!!!」「元気でやれよ!!」「お前ら感謝してるぞォ!!!」皆口々に万感の思いを込めて感謝と別れを告げた。
ゲンゾウはルフィに「小僧!!約束を忘れるな!!!」と念を押し、ルフィはそれを受け止めた。
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ナミは、おもいっきりの笑顔で皆に別れを告げた。
「じゃあねみんな!!!!行ってくる!!!!」
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ナミを乗せた船が、水平線の彼方へと行ってしまうのを、ノジコは「我が妹ながらやってくれるわ、楽しくやれよっ」と見送った。
もう、ゲンゾウの頭の上には、あのトレードマークの風車はない。
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あの風車は、赤ん坊だったナミが、ゲンゾウを見る度に泣くので、ナミの笑顔を見たくて考えたゲンゾウの秘策だった。
ずっとナミの笑顔を見ていたかったゲンゾウは、それを外さずにいたのだ。
8年間の苦しい生活の中でも、ゲンゾウはナミに笑っていてほしいと願居続けていた。
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そのナミは、心の底から笑うことが出来る仲間を得て旅立った。ナミの笑顔を守るのは小僧に託した。
ナミが新しく肩に彫った刺青は、"みかんと風車"のマークだった。ナミの肩で、風車はいつまでも回り続ける。
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