むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

陳雲林が来た台北は大雨、米大統領選挙の時期に、崩壊中の中国経済と交流という愚行

2008-11-03 17:38:26 | 世界の政治・社会情勢
中国の海峡両岸交流協会会長の陳雲林がついに台北にやってきた。3日から7日までの滞在予定。
しかしこの時期の台北はわりと晴れることが多いし、先々週、先週とけっこう晴れ上がっていたのに、2日午後から突然雨が降り出し、その後晴れ間ものぞいたが、陳が到着した午前11時ごろから強い雨になった。まるで今後を象徴するような天気だなw。

張銘清が抗議運動に取り囲まれ転倒する事件が発生し、馬英九政権の能力の無さが証明されたのに、それでも中国側が陳の台湾訪問に固執したのは、中国から見て、馬政権の無能さが明らかで、この分だとあまり長くもちそうにないから、できるだけ早く無能な馬政権のうちに中国に有利な協定を押し付けて、台湾をねじ伏せておきたい、という意図があるのだろう。

ただし、急いては事を仕損じるということわざもあるように、この中国側の焦りは、失敗へと導かれる可能性が高い。そもそも、中国は現在の台湾がもはや「親中政権」とだけ結託してどうのこうのできるというレベルではなく、市民社会がかなり発展しているという点を見失っているからだ。一部のエリートが隔絶された世界で頭の中で考えていることよりも、庶民感情、市民精神のほうが賢いからね。

焦っているのは国民党も同じで、やはりあまり長く持たないと判断しているのだろう、今のうちに「民進党ができなかったこと」をやって、歴史に名を残したいとでも思っているのだろう。しかし、国民党と共産党では役者が共産党が一枚上手だから、国民党はしてやられる形になって、それに激怒した台湾国民の不満が高まって、国民党政権の命脈が尽きるのをむしろ加速しそうな感じだ。
しかも江丙坤などが「歴史的な和解」などと自画自賛しているわりには、2日後(台湾時間では)に迫った米国大統領選挙投開票と同じ時期に、その「歴史的和解」を演出するというのは、あまりにも間抜けだ。両岸和解、国共和解なんて、台湾国内的には何のアピールもないから、アピールするとしたら国際社会向けなんだろうが、その国際社会は米大統領選挙で忙しいときている。まったく、国民党って本当に頭の悪い連中だな。
さらに、頭が悪いといえば、もはやバブルが崩壊して、経済そのものが危なくなっている中国といまさら経済を主体にした交流を深めよう、さらにそれを台湾経済再活性化の原動力にしようという発想が、頭が悪い。

中国は今年に入ってから、株価が70%前後の暴落を見せている。これは、日本のバブル経済崩壊以降3年間の株価下落率を上回る下落幅だ。
中国を美化したがる連中は、「世界金融危機以降の下落率は少ないほうだ」と強弁しているが、すでに今年前半に暴落しまくっているんだから、いまさら下落するまでもないという点を隠蔽したいだけだろう。
さらに、不動産価格暴落とあわせて、中国経済は今年前半にはすでに崩壊していると見るべきである。
実際、広東省を中心に、台湾企業の撤収、工場閉鎖が増え、首になった労働者による暴動が頻発している。
これは台湾社会では常識なんだが、国民党にはそうした基本常識は通じないらしい。単に民進党憎しという動機から、勝手な妄想を作り上げて、時代の趨勢とは逆行する動きをする。
これはまさに国民党が1945-49年にかけて中国大陸を失ったときと同じパターンだし、漫画「のらくろ」に描かれたブタの軍隊=国民党軍そのままだ。