むじな@金沢よろず批評ブログ

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台湾語映画「海角7号」やはり中国で上映禁止に、国民党議員まで呆れる

2008-12-04 02:34:07 | 台湾その他の話題
台湾で大ヒットした台湾語映画「海角7号」が案の定中国で上映禁止となりそうだ。台湾に訪問してこの映画を鑑賞した陳雲林が11月28日に中国で同映画は「皇民化の毒素がある」と批判したからだ。陳雲林は台湾で見た直後には「よい映画だ」などと絶賛していたが、中共中央で議論してやはり中国にとってまずいことがわかったのか、手のひらを返した格好だ。
これに対して台湾では国民党の外省人系もいっせいに驚きと呆れ顔だ。
自由時報12月3日 兩會協商「海角七號」登陸 斥大笑話によると、以前はかなりキチガイじみた外省人極右タカ派として知られていた李慶華立法委員が「陳雲林は台湾に来たときに絶賛していなかったか?それが今は上映禁止にするといっている。これは両岸の言論の尺度の違いを浮き彫りにしたものだ」と、台湾は中国と違うと言い出すまでにいたった。
また馬英九ですら、3日に中央ラジオのインタビューで「台湾は中国大陸と異なり、日本統治を受けたため、日本への感情が大陸と異なっている」と指摘した。

「海角7号」は台湾人と日本人の60年前と現在の恋愛を描いたもので、出てくる言語は台湾語、台湾華語と日本語で、民族もホーロー人と日本人が主で、客家人と原住民ははっきり出てくるが、外省人はあまり目立たない扱い。
民主化と本土化を経て、台湾社会では、外省人であっても、「反日」というものはなくなり、台湾を主体にした歴史観から、日本統治時代も台湾の歴史の一部として、功罪双方を冷静に見つめる視点が確立している。
台湾社会の中では、中国寄り、反日傾向があると見られている馬や李のようなタカ派でも、そうした社会の主流の意識に反することはいえないし、海角7号はそこで描かれている日本との絆や親近感も含めて、いまや台湾社会の共通項になっているのだ。
外省人といっても3世4世の若い世代は、むしろ哈日族が多い。

だから、中国がこれを「皇民化の毒素」というまたぞろ古臭い反日イデオロギーを持ち出したことに、外省人の間でも違和感が出てきているのだ。それが李慶華や馬英九の発言となって現れている。

それにしても、李慶華は、小選挙区制で汐止などで選出されてから、ずいぶん丸くなった気がする。以前永和の外省人保守派を基盤にしていた時期は、一番のタカ派反動派だったが、最近は民生問題でも馬政権を批判したり、わりと主張が中道化してきている。これは、小選挙区制の成果かもしれないし、時代の流れというものだろう。

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