むじな@金沢よろず批評ブログ

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選挙分析4・小選挙区制度は無責任体質の台湾にとって良い制度である

2008-01-15 02:29:48 | 台湾政治
民進党支持層の間では、13日の三立「大話新聞」でテーマにもなったように、「小選挙区を主体にした比例代表並立制度」は、「国民党を勝たせて、民進党に不利な不当な制度だ」などという声が、選挙結果を見て上がっている。
中にはさも今はじめてこの制度を知ったような意見を言う民進党支持者がいる。
これには呆れる。負けたからといって、制度が問題だとか、結果に承服しないのは愚の骨頂であり、それこそ2004年の連戦と同じ知的レベルではないか?
そもそもこの制度および定数削減は、以前の制度では国会の質の低下を招くということで、それこそ民進党支持層の意見などを反映させて、2004年にさんざん議論した挙句に国民党などの同意も得て国会で改憲案が成立。さらに2005年に国民大会で成立したものだ。その過程で反対論を言うならまだしも、制度が決まるときには何もいわなかったくせに、選挙で民進党が負けたからといって、制度のせいだと文句を言うのはバカである。14日も台北市の民進党支持者がそういう文句を言うのを耳にした。
はっきりいおう。民進党が大敗したことは、民進党シンパの私としてはまったく憂鬱なことである。12日は緑支持の友人と夜通し自棄酒を飲み明かした。
しかし結果を見れば明らかなように、この制度は台湾の民主主義を発展させるものである。
というのも、以前までの中選挙区制を続けていたら、台湾では緑45%、青55%というほぼ互角の状態が続く。これほど議席数が接近していると、どちらも決定的に主導権を握れるわけではない。青が提案した総統罷免案は通過せず、緑が提案した法案や予算案は青によって否決される。そして与党の緑側は自分たちの無能を「青の妨害」のせいにし、一方多数派を占めて議会としては与党でもある青側も「与党の緑陣営の無能」と責める。お互いに責任転嫁しているのだ。
無責任体質、これがこれまでの問題だった「青緑対立」の問題の核心だった。
ところが、小選挙区制度では、勝ち負けがはっきりする。勝ったほうは得票差以上の倍数的な差で大勝し、負けたほうは大敗するのだ。
こうなると責任の所在がはっきりする。
しかも、今回は確かに民進党は大敗したが、今後4年間、国民党が成果を挙げられなければ、次の選挙では国民党に審判が下り、民進党が逆に大勝することもありうるのだ。国民党がうまくやればそれはそれで台湾のためでもある。
これは台湾の民主主義にとっては良いことである。


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