むじな@金沢よろず批評ブログ

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県市長選挙、民進党内の読み

2005-12-02 23:24:56 | 台湾政治
 ついに明日に迫った台湾県市長選挙。実をいうと、私は今回の選挙はそんなに興味がない。地方選挙だけだということもあるが、私が台湾に来てからはじめて民進党が元気がない時期に迎えた選挙だということもある。思えば、この5年間は選挙は行け行けムードだけだったから。
 ただ、前日だということもあって、民進党内で幹部や記者たちに読みを聞いた。
 23県市あるうち、前回は民進党9、国民党9、親民党2、新党1、無所属2(そのうち嘉義市長はのちに民進党入党、また親民党のうち台東県長と無所属の苗栗県長は民進党寄りになった)だった。今回は民進党が10月に汚職疑惑などで落ち込んだが、終盤になってやや持ち直した。ところが、5-6の県市で数千票単位で接戦となっていることから、結果がまったく読めない戦いとなっている。
 民進党内では、最低で6から12まで予測がばらけている。6というのは、嘉義県、台南県、台南市、高雄県の「楽勝地域」に加えて、屏東県、雲林県。これに接戦の台北県、宜蘭県、彰化県、嘉義市、澎湖県、さらにチャンスがありそうな台東県と苗栗県のどちらかひとつが通るとみて最多が12。ただ、世論調査分析者によるともっとも可能性があるのは、7(台北県を含む)か11、ただ8か9と見る見方もある。民進党に出入りしている記者は11が多いらしい。
 まったく見込みがないのは、「中国」側にある金門県と連江県をは別として、国民党の基盤が絶大な花蓮県、現県長が隠れ緑といわれる国民党本土派の桃園県では30ポイント近い差。台中県も20ポイント近い差で、新竹市、新竹県も似た状況。ただ、台中市は10ポイント以下の差まで肉薄して次回につなげる模様。
 民進党は現有勢力である10(台北県を含む)を勝敗ラインと設定していて、これを下回るか台北県を落とした場合は、蘇貞昌主席以下が引責辞任することを明らかにしている。ただ私個人は民進党への逆風を考えれば、前回党公認が獲得した9なら、負けとはいえないと思う。
 ちなみに、全国の得票率は前回とほぼ同じ45%と予想されている。
 国民党は馬英九主席が「最低で11取れなければやめる」と強気の発言をしているが、そんな強気で慢心していていいのか?と思う。
 民進党幹部の中には「いっそ台北県を含めて7くらいに落ち込んだほうが、現在の民進党に関する反省点が出て、改革が図れて、実は07年立法委員選挙と08年総統選挙という本当に重要な選挙に有利になる」という見方もある。わたしもそう思う。昨年末の立法委員選挙は民進党が慢心しすぎて失敗した。
 台湾の緑と青の分布・版図は、ほぼ50対50で固定化していて、選挙の種類によって上下5ポイント以内で若干の変動があるだけになっている。つまり、気を抜いてはならないのであって、最近の民進党のボカで国民党がいい気になっていると、そのときが一番危ないのだ。そういう意味では、民進党が今回負けたほうが、教訓とすることができるといえる。
 台湾の政治システムは、大統領制にやや傾斜した半大統領制なので、08年の総統選挙で勝つことがすべてである。それまでまだ2年強もあり、変数も多い以上、県市長選挙の結果は、08年を左右するものではなく、そこから何を学ぶかが鍵となるだろう。

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