むじな@金沢よろず批評ブログ

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ようやく正気に戻りつつある台湾人 9日立法委員補選で民進党3選挙区とも勝利!

2010-01-10 19:29:39 | 台湾政治
9日、桃園県第2区、台中県第3区、台東県で国民党立法委員の選挙違反による当選無効に伴う補欠選挙が実施され、いずれも民進党が制した。台東県は各種選挙で民進党としてははじめての勝利となった。
12月の県長選挙で見られた民進党得票率上昇、国民党の急落という流れが、今回はっきり現れた。
直前の8日には民進党世論調査センター主任は、「3つのうち2つでいい。台東は微妙。2月の補選4つも1つだけ取れればいい」と慎重な読みをしていたが、嬉しい誤算となったといえる。

それぞれ得票率は
桃園県第2区 民進党郭栄宗58.06%、国民党陳麗玲40.04%、
台中県第3区 民進党簡肇棟55.02%、国民党余文欽44.98%
台東県    民進党頼坤成49.46%、国民党[廣β]麗貞45.24%

この結果、民進党の議席は30議席となり、改憲阻止・総統罷免提案可能となる4分の1を超えた。国民党議員も自分がかわいいから、この流れを見て、馬政権を支える気力を失っていくだろう。事実上民進党が国会の主導権をとったも同然だ。すでに5日には米国産牛肉問題で危険部位の輸入を禁止する法案が民進党の案そのままで成立している。

このうち桃園県第2区は客家人地区で伝統的に民進党が強い観音、新屋を含むから、民進党が勝つことは予想されていたが、台中県第3区は軍人がある太平市を抱え国民党系が強いところ、台東県は民主化以降は国民党系が常に7割を確保していたところで、伝統的に国民党の地盤の2選挙区で民進党が勝利した意味は大きい。

08年1月の立法委員選挙では民進党の低迷を受けて国民党の圧勝となったが、そのときと比べると、
桃園県第2区は44.91%対54.57%から、県長選挙で49.86%対47.44%で逆転したのが、今回はさらに民進党は勝ち幅を広げ、国民党は前回圧勝分を食いつぶした格好だ。
台中県第3区でも08年立法委員選挙では45.04%対54.96%だったのが、ほぼ逆転。
台東県では08年立法委員選挙で民進党は候補すら出せず、国民党系どうしの戦いで、国民党公認は次点より5万票の大差をつけ61.09%獲得していたが、県長選挙で47.41%対52.59%で票差は5千票に近づき、今回は2000票差で逆転となった。
台東県は民主化以前の60年代は党外の黄順興が県長になったこともあったとはいえ、国民党の金城湯池とみられたが、国民党は完全に失墜した。
特に唯一の都市部台東市では民進党が3000票近くリードしたことが効いたほか、田舎でも8月の水害で被害が大きかった太麻里郷で1205対997と民進党がリードした。
また国民党が強かった卑南郷でも500票あまり民進党が多かった。

一方、投票率はきわめて低く、桃園県第2区38.42%(08年は56.93%)、台中県第3区45.09%(08年は56.22%)、台東県39.44%(08年は48.57%)で票の出方を見る限り、国民党支持層が馬政権に愛想をつかして投票に行かなかったことが響いたと見られる。さらに国民党の固い支持層も動揺して、一部は民進党支持に回ったと見られる。
緑系に近い台湾時報は「国民党支持層、”あなた(国民党候補)がいなくてはならない”から”あなたはいなくてもよい”に」と国民党支持基盤の崩壊を指摘する。

ただしこれは長い目でみれば好現象だ。これまでは国民党支持層の金権利権による支持基盤の厚さが台湾民主化以降のボトルネックであり、不可思議な現象だった。しかし、今回の補選で他ならぬ国民党支持基盤もさすがに馬政権の失政に愛想を尽かし、自主的に判断するようになったということである。

その意味では、馬英九という、とんでもなくどうしょうもない無能が政権をとったことは、国民党支持層が不明を恥じて、その蒙を啓いたという意味で、長期的には台湾にとってはプラスだったかもしれない。代償は果てしなく大きいけども。

さらに2月27日には、桃園県第3区、新竹県、嘉義県第2区、花蓮県の4選挙区の補選が予定されている。県長に転出した欠の補充だ。このうち嘉義県第2区は民進党が確実で、桃園県第3区も狙えるかもしれないが、後の二つは民進党としては得票率は急増するだろうが、当選までは厳しいかもしれない。花蓮県と新竹県の有権者はまだまだアホが多いからだ。
しかし合計7つの補選のうち5つも取れれば「圧勝」なわけで、今年は幸先のいい一年となりそうだ。

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