ロンドンで7月7日、アルカーイダ系武装組織「ヨーロッパの聖戦カーイダ秘密組織
(الجماعة السرية لقاعدة الجهاد في أوروبا)」の犯行とみられる連続爆弾テロ事件がおこった。毎日台湾国内のしょうもないニュースばかり一面にもってくる台湾各紙も、これはさすがに大々的に報道し、一般4紙ともに一面トップ。さらに聯合報と中国時報が5面まで、自由時報は3面まで関連記事を展開した。台湾日報は1面だけだった。報道によると、台湾人の犠牲者はいない模様だが、それはともかく不幸にして事件に巻き込まれた方の平安を祈りたい。
毎回テロ事件が発生するたびに思うのは、各国政府・指導者・世論がいっせいにテロを非難する声を上げるが、一方的にテロリストを非難する偽善、優等生ぶりもやや食傷気味に思う。
たしかに、私自身もテロや暴力という手段は反対である。テロや暴力によって、問題が根本的に解決されたことはいまだかつてないどころか、問題をさらに複雑化するだけだからである。
しかし、今回ブレア首相らのテロ非難演説をCNNで見てしらじらしく感じた。それは、テロリストが横行する原因を作った責任の一端が欧米自身にあるのではないかという自省がまったく見られず、またテロの温床となっている社会構造や根本原因を正視しようとしない点だ。イラク戦争開戦の際に、アラブのマスコミなどで心配されたことは、戦争がさらなるテロを惹起する可能性だった。それが今回現実のものとなったのではないか?
米英はイラクで何をしてきたのか。中国が国内であるいは国内植民地でやっていることはテロそのものではないのか?「国家」という形態をもてば、テロと同じ行為を「愛国戦争」「防衛戦争」「治安秩序維持」と美化される。これは、かつて中国南方の海上貿易集団が「海賊」と呼ばれたのと同じではないのか。
そもそもテロが頻発する地域は中東と中南米だが、それらの地域を見ると、いずれも貧富の格差が著しいことがわかる。おなじ国民でありながら天と地の差。これを日常的に見せ付けられていては、絶望的になった貧困層が極端な手段に出ることは、それを「愚かだ」のひとことだけで済まされるものではないだろう。私が最近関心をもっているレバノンについても、テロとまではいかないが、貧困層の多くは過激な行動を行う集団に惹かれやすい。貧困そのものは悪ではない。ただ、貧富格差が著しくそれを見せ付けられる地域では貧困層の不満は過激な手段を生みやすい。
もちろん、だからといって、テロや暴力に訴えるというのは、問題の解決にまったくならない。私が昨年フィリピンで左派政党アクバヤンの幹部と話したところでは、その幹部はかつてはテロを敢行するフィリピン共産党に所属していたが、「テロでは問題は解決しないことがいやというほどわかった。だから、共産党から足を洗ったわれわれは、平和的手段で、社会構造を徐々に変革していくことを求める」と強調していた。その口調と表情には、何も生み出さない極限の武力闘争への疲れがありありとしていて説得力があった。「アルカイーダ」を名乗るグループが実在していたとして、その凶悪なテロ行為は、何も生み出さないことは明らかである。
そういう意味では、「テロには決して屈しない」というだけではなくて、「テロを生み出す社会矛盾を究明して、解決に向けて努力しなければならない」という言葉が、政治家の口から出てこないことが問題ではなかろうか。ブレアらも根本の原因解決に乗り出さず、テロを逆手にとって戦争発動や軍需産業強化に利用しているだけではないのか?
しかも、今回またぞろ関係ない欧米在住のムスリムが、心無い市民によって罵倒や偏見の対象となっている。
テロリストの偏狭な心と凶悪な行動を憎むがゆえにこそ「テロに屈しない」こととは、テロを生み出す社会条件や環境を見つめ、その改善を図ることだろう。それには長い時間がかかるだろうが、少なくとも根本原因を正視することこそが、テロ撲滅の第一歩ではないだろうか。
ちなみに、現場のロンドンに本拠を置くサウジ資本・レバノン右派系汎アラブ紙「アル・ハヤー」の記事一覧:http://www.daralhayat.com/world_news/europe/07-2005/
Item-20050707-f2f911ca-c0a8-10ed-00f8-029791b289f6/story.html
同紙が伝えた(最初は湾岸のテレビ、アル・アラビーヤという話だが)欧州カーイダ犯行声明の記事:http://www.daralhayat.com/world_news/europe/07-2005/
Item-20050707-f28b2e13-c0a8-10ed-00f8-02972bfce695/story.html
アラビア語グーグルで「ヨーロッパのカーイダ・ジハード」で検索した結果の最初のページ
http://www.google.com/search?hl=ar&q=%D9%82%D8%A7%D8%B9%D8%AF%D8%A9+%D8%A7%D9%84%D8%AC%D9%
87%D8%A7%D8%AF+%D9%81%D9%8A+%D8%A3%D9%88%D8%B1%D9%88%D8%A8%D8%A7&btnG=%D8%A8%D8%AD%D8%AB
+Google&lr=
(いずれもURLが長すぎて本文表示に支障が出たので、直リンクにせず、また改行しました。
閲覧する際は、エディターなどで一度行を合体、補正させてからご覧ください)
(الجماعة السرية لقاعدة الجهاد في أوروبا)」の犯行とみられる連続爆弾テロ事件がおこった。毎日台湾国内のしょうもないニュースばかり一面にもってくる台湾各紙も、これはさすがに大々的に報道し、一般4紙ともに一面トップ。さらに聯合報と中国時報が5面まで、自由時報は3面まで関連記事を展開した。台湾日報は1面だけだった。報道によると、台湾人の犠牲者はいない模様だが、それはともかく不幸にして事件に巻き込まれた方の平安を祈りたい。
毎回テロ事件が発生するたびに思うのは、各国政府・指導者・世論がいっせいにテロを非難する声を上げるが、一方的にテロリストを非難する偽善、優等生ぶりもやや食傷気味に思う。
たしかに、私自身もテロや暴力という手段は反対である。テロや暴力によって、問題が根本的に解決されたことはいまだかつてないどころか、問題をさらに複雑化するだけだからである。
しかし、今回ブレア首相らのテロ非難演説をCNNで見てしらじらしく感じた。それは、テロリストが横行する原因を作った責任の一端が欧米自身にあるのではないかという自省がまったく見られず、またテロの温床となっている社会構造や根本原因を正視しようとしない点だ。イラク戦争開戦の際に、アラブのマスコミなどで心配されたことは、戦争がさらなるテロを惹起する可能性だった。それが今回現実のものとなったのではないか?
米英はイラクで何をしてきたのか。中国が国内であるいは国内植民地でやっていることはテロそのものではないのか?「国家」という形態をもてば、テロと同じ行為を「愛国戦争」「防衛戦争」「治安秩序維持」と美化される。これは、かつて中国南方の海上貿易集団が「海賊」と呼ばれたのと同じではないのか。
そもそもテロが頻発する地域は中東と中南米だが、それらの地域を見ると、いずれも貧富の格差が著しいことがわかる。おなじ国民でありながら天と地の差。これを日常的に見せ付けられていては、絶望的になった貧困層が極端な手段に出ることは、それを「愚かだ」のひとことだけで済まされるものではないだろう。私が最近関心をもっているレバノンについても、テロとまではいかないが、貧困層の多くは過激な行動を行う集団に惹かれやすい。貧困そのものは悪ではない。ただ、貧富格差が著しくそれを見せ付けられる地域では貧困層の不満は過激な手段を生みやすい。
もちろん、だからといって、テロや暴力に訴えるというのは、問題の解決にまったくならない。私が昨年フィリピンで左派政党アクバヤンの幹部と話したところでは、その幹部はかつてはテロを敢行するフィリピン共産党に所属していたが、「テロでは問題は解決しないことがいやというほどわかった。だから、共産党から足を洗ったわれわれは、平和的手段で、社会構造を徐々に変革していくことを求める」と強調していた。その口調と表情には、何も生み出さない極限の武力闘争への疲れがありありとしていて説得力があった。「アルカイーダ」を名乗るグループが実在していたとして、その凶悪なテロ行為は、何も生み出さないことは明らかである。
そういう意味では、「テロには決して屈しない」というだけではなくて、「テロを生み出す社会矛盾を究明して、解決に向けて努力しなければならない」という言葉が、政治家の口から出てこないことが問題ではなかろうか。ブレアらも根本の原因解決に乗り出さず、テロを逆手にとって戦争発動や軍需産業強化に利用しているだけではないのか?
しかも、今回またぞろ関係ない欧米在住のムスリムが、心無い市民によって罵倒や偏見の対象となっている。
テロリストの偏狭な心と凶悪な行動を憎むがゆえにこそ「テロに屈しない」こととは、テロを生み出す社会条件や環境を見つめ、その改善を図ることだろう。それには長い時間がかかるだろうが、少なくとも根本原因を正視することこそが、テロ撲滅の第一歩ではないだろうか。
ちなみに、現場のロンドンに本拠を置くサウジ資本・レバノン右派系汎アラブ紙「アル・ハヤー」の記事一覧:http://www.daralhayat.com/world_news/europe/07-2005/
Item-20050707-f2f911ca-c0a8-10ed-00f8-029791b289f6/story.html
同紙が伝えた(最初は湾岸のテレビ、アル・アラビーヤという話だが)欧州カーイダ犯行声明の記事:http://www.daralhayat.com/world_news/europe/07-2005/
Item-20050707-f28b2e13-c0a8-10ed-00f8-02972bfce695/story.html
アラビア語グーグルで「ヨーロッパのカーイダ・ジハード」で検索した結果の最初のページ
http://www.google.com/search?hl=ar&q=%D9%82%D8%A7%D8%B9%D8%AF%D8%A9+%D8%A7%D9%84%D8%AC%D9%
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(いずれもURLが長すぎて本文表示に支障が出たので、直リンクにせず、また改行しました。
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