むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

原住民本名回復運動の記録映画が制作進行中らしい

2005-07-03 22:41:15 | 台湾言語・族群
 「本当の名前を取り戻して」、自由時報7月3日付けA8面より。
原住民の本名を名乗る運動も展開していきたドキュメンタリー映画監督Mayaw Biho氏が、5年にわたった本名回復の動きを記録した「本当の名前を取り戻して」と題するシリーズの映画を撮っているという。10年前に「姓名条例(特別法)」が成立して、原住民は漢人名を強制されず、従来漢人名を名乗らされてきた人は届け出れば本名を回復することが認められた。しかし、この10年で実際に本名に戻した人は1000人にも満たないという。
 このドキュメンタリー映画の制作には、民進党本部族群事務部(エスニック問題部)が協力しているという。
 台湾は民進党に政権交代してから、アジアの中で最も進歩的でリベラルな政策が次々に進められている。非核家園(非核社会)、原住民の権利向上、女性議員クオーター制などだ。もちろん、民進党の体質としてNGO気質が抜けず、成熟していないところもあり、保守勢力の妨害もあって、順調には行かないのだが、それでもこうした問題に積極的に取り組み実現させようとしているところは、日本のリベラル勢力も学ぶべきではないか。

元記事は次のとおり:
URLは翌日以降、

原住民尋根 要把名字找回來
記者陳渚・#9585;專題報導
姓名條例通過修正後,原住民擁有恢復傳統姓名的權利,然十年下來,不到一千人申請恢復。長期推動原住民恢復傳統姓名運動、紀錄片導演Mayaw Biho(馬躍.比吼)說,讓人難過的是,恢復後又申請改回漢名的人數,這兩年持續加中,根據內政部統計,已有超過五十人再改為漢名。
近五年來,Mayaw拍了一系列「把名字找回來」紀錄片,他帶著紀錄片到各放映,希望喚起族人對傳統姓名的重視;為了讓漢人也能了解傳統姓名對原住民的真正意義,紀錄片也在許多「非原住民」的場合放映,民進黨族群事務部也打算協助這系列紀錄片在主流媒體放映。
用紀錄片宣傳理念,確實有點慢,Mayaw說,他得到民間企業贊助,接下來他要用廣告CF的方式傳播這個理念,原本配合今年七月換發身分證,今年第 一季就要推出廣告片,後來因釋憲問題計畫延遲;廣告預計在新版身分證換發前一季,在主流媒體密集播出,第一波針對原住民自己,主題是「大聲喊出処ン的名 字」。
十年來,原住民申請恢復傳統姓名的人數少之又少,他認為問題仍出在整個社會未建立對原住民傳統姓名的尊重,因此第二波廣告訴求漢人,主題是「我很美麗,請讀出我的名字」。
Mayaw的「把名字找回來」紀錄片,赤裸裸記錄原住民申請回復傳統姓名在行政手續上序專椏I不便,一個名為牧力.感都的助ノ助ノ,庶サ剛出生的小孩到戶政 事務所障Q戶籍登記,中午十二點進去,到下午五點還沒障Q好,他開玩笑說,渚D太太一點進產房,三點小孩子就出生了,「障Q原住民姓名的登記,竟然比生小孩速度還 要慢」。
外界普遍對原住民傳統姓名的羅馬署x音不熟悉,紀錄片中的一位花蓮港口國小老師Panay Kacaw還特別要學生們回家跟家長解釋,這是學校老師的傳統姓名,「不然助ノ助ノ媽媽署ヒ不好以為老師是一個外國人」;而港口國小三年級有一班八名學生中,有 四個恢復原住民傳統姓名,Mayaw說,這是全台比率最高的地方。
儘管這幾年原住民的人口數在加中,然恢復傳統姓名的腳步依舊緩慢,但Mayaw仍繼續這樣的工作;紀錄片是小女I宣傳方式,他希望今年第四季推出的恢復傳統姓名廣告,透過大女}體播出,能有比較大的回響。
換發新身分證的同時,能有更多原住民有新的名字,而所謂新的名字,其實是原住民原本就擁有最美麗的名字。




原住民テレビ7月1日開始、内容は悪くはない

2005-07-03 22:39:25 | 台湾言語・族群
 原住民電視台(原住民テレビ)が7月1日から正式スタートし、24時間放送を始めている。16チャンネル。ホームページは、http://www.ch16.com.tw/。当ブログでも既報→客家テレビ2周年、原住民テレビ試験放送参照。
 土日だった2-3日、家でほとんどつけっぱなしにして流して見た。以前の稿で「つまらない」と書いたが、本放送が始まってからは意外に悪くはない。まあ、画像が悪いし、番組のつながりが悪く、編成にいまいちしまりがない点は、欠点として残っているものの、内容そのものはそれほど悪くはない。言語は北京語が圧倒的に多いが、地域の催しを案内するスポット広告では、たとえば花蓮のアミスの豊年祭についてならアミス語で、タイヤルの催しならタイヤル語で行うなど、母語を使う努力をしている(これ、もっと増やせばいいのに)。
 まあ、たまに原住民文化紹介番組で、プユマ族の大学教授孫大川氏を呼んで解説させたのがあったのは良かったが、その司会が漢人らしく「原住民も名前がわれわれと同じ漢字三文字だったのが、最近名前を変えて原住民の名前を名乗るようになりましたね」などとおばかなことを言っていたのはむかついた(漢字の姓は国民党が来てから押し付けられたものであって、もともとローマ字で原住民独自の名前があったんだよ、タコ!、後で見直したら、昔TVBSにいた張雅琴だった。やっぱ、アホだ)。漢人を使うのはいいんだけど、ちゃんと原住民文化の知識があるか事前に教育して出せよ。
 まあ、まだまだ改善の余地は大有りだが、放送でも繰り返し言っているように「アジアではじめての原住民のテレビ局」であることは事実。原住民テレビ局があるのは、ニュージーランド、オーストラリア、カナダが挙げられるが、全国に流すタイプでは世界でも初めてのはず。そういう意味で、最初の試みとしては、まあ上出来だといえると思った。まだ企画段階のパンツァ・テレビともども、今後発展していってほしい。
 この放送局にはもうひとつの効果が期待されている。放送では番組の合間にたびたび行政院原住民委員会のワリス・ベリン主任委員、姚文智・新聞局長、開幕式のときの陳水扁総統、それから謝長廷・行政院長がたびたび出てくる。原住民地域ではいまだに国民党と軍が統制していて、民進党が入り込めず、毎回選挙では民進党の支持率は10%台に満たないという状況。本来なら、国民党こそが原住民差別・圧迫をしてきて、民進党がその改善を進めてきたはずだが、情報がいきわたらないから、こうした「ねじれ」になっていた。このテレビ局の開局で、原住民地域での民進党の認知が進むかどうかが注目される。

 台湾地元紙は開局式の翌日2日付けで、台湾派・台湾日報が一面下で「亞洲第一 原住民頻道開播(アジアで初めて 原住民チャンネル開局)」の見出しでわりと大きく扱い、同じ台湾派・自由時報は芸能セクションD4面で「原住民台開播 陳總統致詞(原住民局開局、陳総統が挨拶)」の見出しで割と地味な扱い。大中華派の聯合報、中国時報は私は本版しか見ない主義だが、本版では見かけなかった。中華主義者は高金素梅のように反日イデオロギー絡みだと大きく扱うくせに、こういうところで原住民に対する冷淡・蔑視が現れるのだろう。

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 ところで、開局を伝える日本の新聞の報道を見ると、写真付きなどで大きく伝える意気込みは評価できるが、おそらくインフォーマントが不正確だからか、ところどころ間違いがある。
 まず、朝日新聞
台湾「先住民チャンネル」放送開始 民族独自の文化発信
2005年07月02日08時11分
http://www.asahi.com/international/update/0702/002.html
最後に、
> 先住民は人口の約2%の約45万人。民進党政権が進める外国人労働者の受け入れに、
>職場を奪われるとの危機感から不満を強めている。専門チャンネル開設には政権への不満
>解消の狙いもある。

 とあるが、これは二点間違っている。
 そもそも外国人労働者受け入れは、民進党政権になってからフィリピン人を減らすことで、逆にやや制限する方向にある。
 それに、原住民が民進党を支持しない原因は、外国人労働者によって就業機会が奪われるというよりも、そもそも原住民が多い山地や東部は、もともと軍・警察などの管制・統制地域になっていて、情報の流通や言論の自由度は、いまだに80年代の状態。これは2003年8月に花蓮県長補欠選挙を観察したときに、実感した。つまり、原住民は多元的な情報を知らされていない状態に置かれているわけで、それを突破するためのもの。外国人労働者問題は直接関係がない。

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次は毎日新聞
台湾:先住民向けTV開局 「脱中国化」政策反映、政府も運営費支援--アジアで初
毎日新聞 2005年7月2日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/asia/taiwan/news/20050702ddm007030112000c.html
> 「脱中国化」を目指す陳政権は、中国との文化的な違いを強調するため、独自の背景を
>持つ先住民族の権利を強化し、文化を保護する政策を進めている。

これは完全に間違いではないが、「中国との違いを強調」というよりは、直接的には国民党政権によって差別され、圧迫されてきたマイノリティを、進歩派政権らしく保護・尊重していこうというもの。結果的に脱中国化の効果があるが、それを直接目的にしたものとはいえない。

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日本経済新聞
台湾、マレー・ポリネシア系先住民の専門テレビ開局
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20050701AT2M0101L01072005.html
は短いこともあって、特に変なところはない。

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西日本新聞(本社・福岡)
 ここは、今の特派員が台湾文化の話題を熱心に拾っている点で評価できるが、事前の記事ではちょっとミスがある。

先住民テレビ 本放送へ 台湾 7月スタート
独自芸能文化紹介 「多様化を推進」
2005.06.27掲載

>各グループは固有の言語と文化を継承しているが、文字は持たない。

 各言語はローマ字による表記法が確立している。キリスト長老教会を中心として、各言語の聖書も翻訳出版されている。また、キリスト教徒が多いこともあって、教会を通じて、表記法はかなり民間レベルで浸透していて、「母語文盲」は実は、ホーローや客家よりは少ないくらいだ。

>年配者は中国語や台湾語が話せない人が多く、華人社会では根強い差別が残る。

 華人よりは漢人と書いたほうが正確。というのも、台湾における「華人」という用語はまだ熟したものではなく、何を指しているのか不明なことが多い。原住民との対比では「漢人」のほうがよい。