月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「イーグル・アイ」(「Eagle Eye」)

2008年11月15日 | ◆ア行

★2008年 監督 D・J・カルーソー

製作総指揮が スティーヴン・ スピルバーグ というだけあって、
主演のシャイア・ラブーフ は、スピルバーグが製作を指揮した映画『トランスフォーマー』(監督にはマイケル・ベイ)でブレイクし、超人気シリーズの完結編でも『インディ・ジョーンズ、クリスタル・スカルの王国』ではインディ・ジョーンズの息子としてハリソン・フォードやケイト・ブランシェットらに混じって奮闘。この一連の抜擢をモノにしていまやすっかりブレイクした感じがしますけれど、

スティーヴン・スピルバーグ監督はこの青年のどこにほれ込んだのでしょうね・・・・普通の青年ぽさ?頭の良さ?

若干22歳の若手ながら、本作は、D・J・カルーソーと組んで二作目のようで、『ディスタービア』は未見ですが、ここではシリアスな役をノンストップアクションにも関わらずとても伸び伸びと演じていたように思います。

さて、『イーグルス・アイ』・・・・

映画冒頭では、これって戦争映画?と思ってしまう場面が出てきますが、それはそこで終わって、場面は一転どこにでもいるような青年の勤務先のプレイルーム。ここはこの主人公シャイア・ラブーフは頭が良さそうだと推測させるカードゲームの場面らしく、シャイア・ラブーフはコピー機屋さんで働く青年。
アルバイトかパートタイマーか不明なれど、彼は「頭はいいのに大学には行かず自分探しをしている青年」らしいと葬儀での父親の言葉でさらに彼のキャラの説明が付加されます。この辺り、シャイア・ラブーフの経歴とだぶるかもしれませんね。

そんな彼の元に双子の兄の訃報が届きます。
国防総省(だったか・・)の管轄するさる研究所で天才的な頭脳を駆使して仕事をしていた双子の兄の突然の死・・・・葬儀で父親と口論して沈鬱な思いでアパートに帰った彼に「荷物が届いていますよ。部屋に運び入れてもらいましたからね」という大家の話。


(見知らぬ女性の声でいきなり、「今すぐそこから離れなさい。あと●●秒でFBIがそこに踏み込んできます」と告げられて、何のイタズラかと思う主人公ですが・・・・)

映画は、ここでドアを開けた次の瞬間から、ノンストップアクションというか、ジェットコースターに載せられて主人公同様に度肝を抜かれる唖然とし思考停止状態となるかもしれませんね。
な、なんなんだ、こ、これは!
おかしな電話の相手がカウントダウン始めるや、その部屋にまさかのFBIが踏み込んでくるで、まさに『トランスフォーマー』の来襲のような状態になりわけも分からず逃げ出す主人公ですが、指示通りに動かなかったためにFBIに捕まり何とテロリストにされてしまいます。無論、冤罪で、けれどその証明ができないことが怖ろしい・・・

そこに、「今度こそ私の命令に従いなさい」と女性からの指示の電話。「そうすれば、そこから逃がしてやります」次の瞬間、警察署をクレーン車(だったかな?)がいきなり襲撃!しかも無人のクレーン車!こうなると『トランスフォーマー』とかなりダブってしまいますが・・・



以後はもうほとんど走りっぱなしのような彼・・・・
どこに逃げてもどこに向かって走っても携帯が鳴り電光掲示板には次にどうしろと言う指示が流れるので、もうほとんど≪有り得な~い状況≫にシャイア・ラブーフは唖然&思考停止。
けれど、指示通りに動いたお陰で警察やFBIの追撃から逃げおおせてまずはここ地下鉄乗り場にいるわけで・・・



名乗らない相手の言うままに動いていいのか。
いったい何が起こっているんだ!?

彼じゃなくても普通は誰でも考えます。
でも、考えたところで分からない。
そういう普通の青年、一般の市民感覚をもった青年が主人公。
そういう意味では、シャイア・ラブーフは適役。

乗った地下鉄でも車窓の外に見える電光掲示板にも指示が彼宛に流れるという徹底振りに、疑心暗鬼と不安は最高潮に。そんな指示に従わず自分の意志で動こうとする主人公ですが、電話の主は何から何まで先を読み込んでいく、そんな存在。
車内の乗客の携帯電話が一斉に鳴り「シャイア・ラブーフはテロリストである」とのメッセージが流れる場面で、ネタが分かってしまいそうになりますが、もう指示に従うしかないと思って駅に飛び降りると、待っていた車に女性。



お互いに、「どういうつもりなんだ」と相手を責め立て合う二人ですが、彼女もまた彼と同じように有無を言わさず命じられた行動を取った結果、そこに来たわけで、彼女の方はさらに深刻。従わないと息子の命がないのだから。
ワシントンの議場コンサートで演奏するために乗った列車が爆破されるという脅しに彼女は慄いているわけです。
しかも、なぜか携帯電話は繋がらない・・・・


(母子家庭で息子に対して愛情深いキャリアガールながら、訳も分からないままに警察やFBIの追撃から逃げることになるレイチャルを演じているのはミッシェル・モナハン)

こうして次々に正体不明の相手から繰り出される指示通りに走り続け街中で凄まじいカーチェイスをする羽目になるレイチェルを演じているのが、ミシェル・モナハン。そんな彼らをテロリストとして指名手配を描け総動員でどこまでも追ってくるFBI捜査官!


(国家の安全保障のために命を賭ける捜査官をビリー・ボブ・ソーントンが好演)

危険なテロリストの計画を阻止すべく、彼も職務に必死。かくして、
どこまでもどこまでも逃亡するしかない二人・・・・

ここまでは、ホント、何だか『トランスフォーマー』の続きを観ているような妙な既視感がありましたね。ちょっと、いただけないなァと。

その頃、国家安全保障局だかの女性捜査官が、双子の兄のやっていた研究と仕事を洗い始めます。


(事件の真相への追求に信念を見せる捜査官を演じるロザリオ・ドーソン)

そして事件の核心に近づいていったとき、あるプロジェクトの部署に彼女は招かれます。その極秘プロジェクトこそ「イーグル・アイ」とネーミングされたもの。ここで茶々を入れるつもりはないのですが、アメリカって、こういうものにイーグルだのホークだのって名前を本気で付けたりするので、その感性には閉口させられますね。

現実は映画より奇なり・・・・そういう面がアメリカの政治や軍事作戦には多々ありそうで、何だかそれって漫画みたいな感性だと思ってしまう私。
話を戻すと、彼女の有能さを買い、問題の解決を図ろうとする国防総省だかの統括責任者を演じていたのがこちら。
マイケル・チクリス。


(軍人姿が様になっていたマイケル・チクリス、なかなか良かったですね。これは新発見でした!)

この画像と違って軍服姿できりりと引きしまった寡黙な上官役、
意外と良かったですね。映画『ファンタスティック フォー』で実直なベン役のイメージが大きいかもしれないマイケルですが、警察官や軍人といった役柄が似合う俳優だろうと思いますね。

こうして映画では皆がやがて思いがけないところで合流することになるのですが、



この場面になると、映画はすでにSFに突入か!?という印象が大きくなるのは、全ての情報を一元的に管理するマザーコンピューターと存在というテーマはSF近未来の定番の一つだからでしょうか。他の映画の二番煎じという感を否めなかったですし、ラスト10分くらいで映画がいきなりワシントンモノの映画が様変わりして、正直、違和感が拭えなかったですね。

アクション映画+SF映画+ワシントン物の映画+市民の個人的幸せ+そうした市民の自由と尊厳とプライバシーを破壊する権力の行使というものを問うSF映画・・・・まるで中華料理とフランス料理と日本料理とイタリア料理とメキシコ料理やインド料理を次々と食べたような感じ。こうした映画の作り方って、≪映画のテイスト≫としては如何なものかと思ってしまいました。
観終えて感じたことは、スティーヴン・スピルバーグ監督はそろそろクリエイターとしては隠居かもしれないぞと。

映画にいかなるテーマがあろうと、またそのテーマを、エンターテイメントのアクション映画というコスチュームでいかに華々しく包んで表現しようとしたとしても、その結果、映画全体として生じる≪テイスト≫というものが混合味の大味になってしまっては、やはりそのテーマは観客の心に響かない。つまり、映画の持つパワーは散漫となり、概してそういう映画はツマラナイものになる。
映画って、そういうものだと思うので、そういう意味で本作はイマイチだったなァと感じました。

★ご参考までに。
http://www.eagleeyemovie.com/intl/jp/




 


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