たくさんのユーザーさんや補助犬育成団体、ADI(国際アシスタンスドッグ協会)、IAADP(国際アシスタンスドッグパートナーの会)、特にIAADPの故Ed Eames会長のご助言や協力の賜物で博士号をとることができました。
この時期に当たり前のことなのですが、3月21日に予定されていた博士号授与式がなくなりました。
恩師である井関利明(慶応義塾大学名誉教授)が学部長を勤めていらしゃいました千葉商科大学の社会人大学院コースに、長野から通うとになりました。確か、2004年に入学させていただきました。 朝4時のバスで新宿に行き、千葉県の市川まで2年間通いました。仕方なく、休むこともありましたが、大学のみなさまのやさしさで、講義を修了できました。
学士からご指導をいただき、至らないことを申し上げても寛容な井関先生が千葉商科大学退官されたことで、指導教授が熊田禎宣先生になっていただくことになりました。熊田先生は、いくつもの学会の会長を務める、学生にたいして熱意あふれる教育者と定評のある教授でした。でも、有馬自身はもともとあまり体力がなく、協会運営と一緒に、深夜での学業で、論文作成に弱気でした。よく「バカもん」と怒られ、弱気の上に「バカ」が重なりました。だれにでも、面倒見の良い熊田先生にとっては、やる気のない私の態度が歯がゆかったのだと思います。
ゆったりと、的確なヒントをひとつ、ふたつおっしゃる井関先生と違い、熊田先生は、有馬のいたらない論文に対して、怒涛のように助言をされるので、あまりに新しい知識を消化しきれず、頭の中は混沌としました。
だんだんに熊田指導ペースに馴れ、久々の指導を3日後に控えた2009年5月、熊田先生が急逝されました。原因は心臓だったそうです。突然の死に、悲しいよりも驚きと、熊田先生に面倒をみていただいた学会や学生がたくさんいらっしゃいましたので、先生のお人柄を考えると、たくさんの心残りのまま他界されたのだと思います。
おかげさまで、博士論文は多くの指導者のみなさまのお力添えで上辞できました。
でも、熊田先生にご高覧いただけなかったのが悲しいです。至らない、いたらない学生でしたが、博士号取得にきっと喜んでくださったことでしょう。
この場を借りて、熊田先生のご冥福をお祈りすると同時に、深く感謝申し上げます。
熊田先生、ありがとうございました。