20世紀の建築3大巨匠の1人フランクロイドライトは、
旧帝国ホテルを設計したことでも知られ、
3人の巨匠の中では、日本人に最も身近な存在だと言える。
日本に残されているライトの建築物は、4箇所。
1 旧帝国ホテル エントランス部分のみ明治村に移築。[愛知県犬山市]
2 旧山邑太左衛門邸(現ヨドコウ迎賓館)[兵庫県芦屋市]
3 旧林愛作邸(非公開)[東京都駒沢]
そして、一番身近にある建物が
4 「明日館」(みょうにちかん)、池袋にあります。
この明日館は、自由学園という学校の校舎として建てられたもので、
日にちは限定されていますが、一般に公開されています。
なお、公開日には定期的にガイドがついて説明してくれるので、
その時間に合わせて行ってみました。
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ガイドの方のもとに20数名集まってきました。
意外とこういう建物好きな方っているもんですね~
ガイドの方の話の中で
「・・・・・ ライトは俺が俺が・・という人なので、
共作を認めない人であった。
ただし、この明日館だけは共作の表記を認めた。
その人物は遠藤新。」
この遠藤新は、帝国ホテル建設のチーフアシスタント
という位置づけで、ライトのサポート的な役割を担っていて、
ライトの設計思想の影響を強く受けたようです。
自由学園の創立者羽仁吉一・もと子夫妻は、友人の遠藤新を通じて
ライトが帝国ホテルの設計のために来日した際に、
設計を依頼したとのこと。
では、建物を見ていきましょう。
明日館の工事は正面左手から着手し、
右手方向へ建築していった。
外観は鉄筋コンクリート造を思わせるが、全て木造。
雨どいは表に出さず、柱の中へ通している。
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出入り付近は、外部と建物内部との段差がない。
当初は、日本の湿気をしらず、地盤の下に木造の基礎を造ったため、
基礎の木が腐食し柱が横へ広がって天井下がってしまった。
その対策で棟木の下に補強材を入れ、その下に天井を張ったので
天井の角度が当初のものと、その後のもので微妙に違っている。
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上と下で天井の勾配が微妙に違います。
この当時の建物中央には、権威あるものが収まっているのが普通だそうで、
たとえば東京駅は、中央には皇室の出入り口があった。
そういう時代背景の中、この明日館では建物の中央に食堂を設けて、
団欒を中央に置いた。そして、構造的にもコアとなるようにし、
レベルも中2階の位置に設けている。
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いすの角度、窓の角度などは全て統一されているが、
異なるものがある場合、そこは遠藤新氏の手によるもの。
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この窓は遠藤新氏によるもの。
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展示室からホールを望む
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広い空間の天井の処理
単調にならないよう変化をつけている。
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ここは、低い天井の圧迫感を和らげるトップライト
ひととおり見学したあと、道路の反対側にある
遠藤新氏の設計による講堂も見学。
こちらもなかなか見ごたえのある建物でした。
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この明日館は1997年に国の重要文化財に指定。
1999年から保存修復工事を行い。
2001年に完了したとのこと。
やはり、文化財でも保存するだけでなく、利用してこそ、
その価値は伝わるものだと改めて感じました。