フランツ・クリストフ・ヤネック
ジュピター(ゼウス)は天の支配者にしてオリンポスの神々の王。最も輝かしい神にして、正義を愛し、虚偽を憎んだが、浮気者でよく、正妻ジュノー(ヘラ)以外の女に目をつけては、幾人も子をこしらえた。ペルセウスやヘラクレスなどの英雄も、そうして生まれたゼウスの子であるという。ジュノーはこのような夫の不義に苦しみ、嫉妬のあまり夫の愛人たちやその子供たちをいじめた。
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ギリシア神話の最高の神にしてはずいぶんと苦しいですね。神は人間の女性に目をつけて子を産ませたりなさいません。おそらく痛い事情でできた子供を、神の子だと言ってごまかした人が昔いたのでしょう。昔は人間の性欲を縛る縄が程よく緩かったのです。ゼウスは人間の都合で浮気者にされたのかもしれません。浮気などするとパートナーが苦しみますから、高い人格を持った人はそんなことはしません。このゼウスの所業を頼って、自分の浮気心の言い訳になど使ってはいけませんよ。