世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

詩島瑠璃

2015-08-18 05:17:44 | 月夜の考古学・本館

  あなた



わたしのことばのなかに
あなたの愛が流れてきて
不思議な詩が
小鳥のように歌う

小さな宝石を並べて
海辺で拾った貝や
川辺で拾った石を並べて
石畳で拾った赤い落ち葉や
野の隅で咲いていた花などを
貼りつけて
かわいい詩を書いた

わたしは わたしのなかの
小さな心の鈴が
喜ぶ詩を書いて
死にそうなわたしの心を守っていた
その詩の中に
いつかしら あなたの言葉が
流れてきて
いつの間にか あなたが
わたしの詩を書いていた

ああ わたしを
生かしてくれていたのは
あなただったのですね

さびしいと思うときはあるよ
わたしの歌う風の声は聞こえない
けれどあなたの声は暖かい
いつの間にか
傷だらけだったわたしを
ささえてくれていたのは
あなただったのだ

生きているわたしを
繭の中で眠る赤ん坊のように
あやしながら
わたしは静かに歌う
あなたの愛の中で
しばし

物語の 本当の
終わりが来るまで




(2012年頃、詩集「カシオペア」より)




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