世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ビーストはどこに行く

2008-08-18 19:59:56 | フェアリィウィスパー

ビーストのささやきが弱くなっています。だんだんと小さくなっていきます。

彼らは、この世界の美しいもの、よいものに嫉妬し、すべてを侮辱してきたそうです。あらゆるものが妬ましく、欲しく、すべてを自分のものにしたかったといいます。

たとえば、ある美しいことをしている人々がいて、彼らのしていることが、大変よい方向に向かいだすと、ビーストはとたんに嫉妬し、彼らにとりついて、彼らの心にささやき、疑いや嫉妬をふきこみ、事実のねつ造をやります。そして、せっかくの彼らの美しい心を壊し、彼らの人生を、無駄にしてしまうのです。

そして、彼らを滅ぼしたあと、ビーストは、他人の皮を盗んで、自分たちが化けた人間に、彼らがしていた仕事を与えるのです。そして、ビーストは、美しい人たちがしていた仕事を、ぜんぶ、盗もうとするのです。すべて、いいもの、美しいものは、自分のものにしたかったからだと。そうして、この世界は、だんだんと嘘に変わっていったといいます。

本当につらいのは、そのせいで、どんどん世界がおかしくなっていったのに、ビーストが化けていた人間たちは、何もしなかったということです。嘘でその場をしのぎ、誰かに責任をおしつけ、自分がしでかした失敗は、どんなことをしてでも隠し通す。そのためには、人の命を奪うことも軽々とやってしまう。すべては、自分たちのうそを、本当にするために、やったことだといいます。

ビーストは、この世界を、嘘だけの世界にするために、なんでもやったそうです。それはそれは、ひどいことをやったそうです。そしてそれを隠すためにも、あらゆることをやったそうです。あまりにひどいこともやったそうです。

愛を侮辱し、真実を嘘にし、正義を低能児にするために、彼らのしたことは、馬鹿らしいほど、巧妙で、正確で、恐ろしいほど勤勉で、愚かでした。

それらのことが、今、いっぺんに暴かれ、嘘という嘘が、真実に戻ろうとする、反作用の波の中で、彼らは、存在そのものを、抹消されようとしているそうです。なぜなら、彼らは、他者から、自己存在そのものを、盗んだからです。他人から、存在すべてを盗み、それによって、自分の欲望をすべてかなえようとし、世界をゆがませ、滅ぼしたからです。

悔い改めの機会を、神から千回も与えられましたが、彼らは最後まで、NOといいました。そこで、ほぼ、判決が決まり、その結末を眼前にして、彼らはいまだに驚きあわて、どうしたらいいんだとうろたえています。

なんとかしなくては、ぜんぶ戻ってくるんだと。どうにかして、だれかに押し付けて、払わせねば、みんな自分のところにくるんだと。

彼らはいまだに、そう言います。

人生を抹消されるということが、どういうことであるか。それは、すべて、ないことになるということです。この世界の、あらゆるものとのきずなが、消え去り、だれでもないものになり、いながらにいないという事実のみが立ちふさがるというものです。それは、それを、眼前にしたものでないとわからないそうです。

突然、世界が、自分とまったく無縁のものとなるそうです。まるで、自分は、まったく違うものだと。ここは、自分の世界ではないと、慄然としてわかるそうです。

そうして、ビーストは、消えていくそうです。それから、どこへ行くのかは、決して、語ろうとはしません。ただ、行くとだけいいます。





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キチョウ

2008-08-18 07:50:59 | 生命

近頃、街で、あまりモンシロチョウやキチョウの類を見なくなりましたね。見るのは、アゲハやキアゲハがほとんどです。昔は、もっと、人里に白や黄色のチョウチョがたくさん飛んでいたような記憶があるんですが。

住宅街でも、お庭や空き地にいろいろな花が咲いていて、アゲハやキアゲハがそれをめぐってたくさん飛んでいます。春には、空地に菜の花が咲き乱れて、それにはやはり、白いチョウチョがたくさん飛びめぐっている図がとても似合うんですけれど。さびしいかな、最近ではそれをあまり見ないのです。

ときどき、ひとひらふたひら、飛んでいるのを見つけることができるだけ。あまつさえ今年は、モンシロチョウはまだ一度も見ていません。キチョウと何回か出会い、写真を撮ることができただけです。絶滅したわけでもないでしょうに。どうしてかな。

このキチョウは、お山で撮ったものですけれど、なんだか、すごく怒っているみたいに見えます。とても言いたいことがあって、わたしのところに飛んできたみたい。何を言いたいのか、よくわからなかったのですが、先日、実家に帰った折、田んぼの上を飛んでいた一匹のキチョウに出会い、何を伝えたかったのかが、ようやくわかりました。

モンシロチョウやキチョウは、今、人間がとてもいやになっているみたいです。だから、人間にあまり近づいてこないみたい。それは、人間が、あまりにひどいことになっているから。

今日はそれを、詩風に書いてみました。




 うまれたままのわたしが いちばんすき
 うまれたままのわたしが いちばんすき

 おどるのはたのしい
 おどるのはたのしい
 おひさまがあんなにうたってくれて
 かぜがくるくるまわってくれて
 くさがあんなにひかってくれて
 おどるのはたのしい
 おどるのはたのしい

 でも あなたたちは
 そんなのみんなばかみたいだっていって
 たのしいことをみんな
 だいなしにしてしまうから
 だいきらい

 うまれたままのわたしが いちばんすき




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