世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

メデューサの復権

2007-06-07 09:49:19 | 画集・ウェヌスたちよ
相変わらず写真がまずいですね。どうしてもまっすぐ撮ることができません。微妙に傾いてるんですが、勘弁してくださいね。

これは何年か前に描いて、糊付けの際に細部を失敗してしまったので、そのままほっておいた作品です。久しぶりに出してみてみると、その失敗もなんだか感じよくなって仕上がっているので、紹介してみました。タイトルは「メデューサの復権」。旧ブログに同じタイトルで記事を書いたことがありますから、その前後に制作したと思います。

描いたときには、モナリザのように静かで教養深い感じの女性にしたいと思っていたのですが、出来上がりは男性っぽい、苦しいくらい自信に満ちた女性になりました。美しいけれど、強い。力にあふれている。

ギリシア神話では、メデューサは、英雄ペルセウスに滅ぼされる怪物です。髪の毛は恐ろしい蛇、その顔を見たものはすべて石になってしまう。けれども神話をよくよく読んでみると、メデューサは特に悪いことをしたわけではないんですね。ただ美しかったからという理由だけで、恐ろしい怪物にされてしまっただけなのです。

で、ペルセウスがどういう男なのかというと。彼はゼウスの息子だということになってるんですが、メデューサを退治する際も、自分の力ではほとんどやってないんです。みんな神様が助けてくれている。アテナからもらった盾や、ヘルメスからもらった千里の靴。それで何とか、怪物退治ができてるんです。そして美しい花嫁アンドロメダを手に入れる。それは自分の言うことを聞く美しいが弱い女。

要するにこの神話を読み解けば、男は、どんな男でも、よほどでないかぎり、みんなが助けてくれて、ある程度の英雄になることができるってことなんです。でも女は、どんなに頭がよくても、強くても、それ相応になることすらできない。かえって、男を滅ぼす怪物にさえなってしまうんです。

女はそれでも、何とかうまくやってきたの。ほんとはメデューサだけど、アンドロメダの顔をして、いろいろ工夫して、自分のやりたいことをやってきたんです。苦労しながらね。でも、男はそんなこと、滅多に気づかない。男は、自分はすごいことができるって思ってるけど、それは社会がみんな助けてくれてるんだってことにすら、気づかずに、あまりにつらいことをしてしまう。みなを傷つけてしまう。助けてくれているみんなを。

そろそろ、もう言ってもいいんじゃないの? ていう絵です。これは。

ちょっと、あんまりにひどいわよ。いいかげんにしなさいよ。

メデューサはにらんでる。わたしは人を食ったりしないわよ。かんべんしてよ。

もういやになってるわよ。みんな。
コメント (5)
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