とても小さなビーストが、わたしのところに来ています。小人のようです。何も着ていません。裸の、小さな、ビーストです。
彼らは、まるで痩せた子供のように貧相な体型ですが、顔は老婆のようです。しかし、とても幼く見えます。子供のまま、激しく年老いてしまったような顔をしています。そして繰り返し、いやなことにしたい、いやなことにしたい、と言っているのです。
おそろしく老いているのに、恐ろしく幼い。そしてやっていることは、子供よりもひどい。彼らは、人間が、少しでもよいことを考えたりしたら、それがいやでたまらず、徹底的につぶし、消し去ろうとしてしまいます。そして、本当にそうしてしまいます。人がやろうとしたことを、跡形もなく、消し去ってしまいたいと、言っているのです。これはひどい、ということを、迷いもなく、やっています。それはみごとです。
いったい、なぜそうするのかと、問うと、彼らは、男も、女も、こういうのです。「きれいなおんなになりたい。きれいなおんながうらやましい」
彼らは、男など、どうでもいいそうです。きれいな女がいいそうです。だから、徹底的に、女性ばかりいじめて、あまりにひどいことをして、殺してきたそうです。恐ろしいほど、苦しい、苦しい、苦しい、と言いながら、ばかみたいなことを、やっています。それは、ほんとうに、子供じみているということも、おそろしいことです。原始的な段階のまま、成長していない心がやっている。そうとしか思えないほど、プリミティヴなことなのです。
たとえば、当たりつきのアイスクリームが、当たらなかった。それだけで、人を殺してしまう。そういうことです。単純な自分の欲求が叶わなかった。それだけで、あらゆるものをひっくりかえして、だめにしてしまうのです。
彼らは、そういうことを、ずっと、人間にさせてきたそうです。人間の命と魂を、ゴミのようなもののために、つぶし、まったくみじめなものとして、馬鹿なものとして、苦しめ、殺し、徹底的にいじめてきたそうです。いやだったからだそうです。人間が、かわいいのが。全部、やってやると、ずっと思ってきたそうです。
人間が、かわいいから。おんなが、きれいだから。それだけで、すばらしいことをして、いやになるくらい、おそろしいことをして、馬鹿にして、殺したいと思うもの。それが、裸のビーストだそうです。
人間が、これまで、いやというほど、ビーストに苦しめられてきたのは、恐ろしいことをさせられ、ばかみたいなものにさせられてきたのは、ひとこと、彼らが、にんげんに、ひどく嫉妬したためです。なぜなら、人間が、美しかったからです。かわいらしかったからです。みじめになるくらい、それが、うらやましかったのだと、ビーストはいいます。いやになるくらい、ずっと、人間をいじめてきたのは、人間が、とてもかわいくて、おもしろくて、いいことをする、いいものだったからです。だから、みんな、だめにしてしまいたかったのだと。いやなものにしてしまいたかったのだと。
おんながうらやましいというのは、女性が、いいことをして、きれいになるからだそうです。それはそれは、かわいくて、好きになってしまうからだそうです。だから、みんな、だめな、阿呆にして、いよいよ馬鹿になる、ずっとずっと馬鹿になっていく、あほみたいなものにしたかったと、彼らは言います。馬鹿になるくらい、ずっと、それをやってきたと。いたいほど、そればかり、だったと。ずっと、それだけだったと。ビーストは繰り返します。
人間が、おんなが、すばらしいものだったから、ビーストは、いじめたのです。ずっと、いじめてきたのです。いやだったというのは、すごく、苦しかったからです。愛してしまうのが。馬鹿だと思ってるのに。好きになってしまうのが。いやだったからです。
あいしていました。と、ビーストは言います。にんげんが、ほんとうは、すきでした。みんな、かわいかったのです。でも、おれたちが、みんな、だめにしました。ばかにしました。ほんとうに、いやなことばかりして、いやなものにしました。みんな、好きだったからです。いやなんです。それが。馬鹿みたいだ。
裸のビーストは、わたしのところで、ずっとそればかり言っています。