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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ゆふぎりの

2008-09-21 16:42:50 | 歌集・恋のゆくへ



  ゆふぎりのとほとのふえときえゆくかやへがきつくるますらをのほね





  あしひきのやまぢのまつのもとがねにのこせしふみをたれやひろはむ










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2008-07-22 15:26:28 | 歌集・恋のゆくへ




いとはしき虫のひそめる金籠のごときもの立つあやかしの森



たをやめのかたちをえたりわれのみをうましとぞせむいたましき虫



玉を欠く貝の入り江に絶え果ててあれが欲しきと泥に吐き積む





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病める身を

2008-04-21 08:38:13 | 歌集・恋のゆくへ


病める身を憂ふる芥子の実を裂きてなほ病める身にくるほしく棲む


若草よ驕りのときをうたはざれ鼬のひそむ花櫛のかげ


月影を茶碗に酌みていつはりに染むるまなこを洗ふてもみよ


長き夜を灰に朽ちゐしよきものよ目覚めよそして我がことをせよ



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我なるものに

2008-04-11 08:48:21 | 歌集・恋のゆくへ

たへがたき暗夜をまとひほの白きひとすじの道に入らむとすなり


たれひとり寄る者ぞなき身となりてたすくるものは我のみとせよ


船もなき岸に座りて荒海をゆくすべを聞け我なるものに




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ゆかりの星の

2008-03-09 08:51:11 | 歌集・恋のゆくへ
 



        あまたよの夢の柱をめぐりきてけふおとなひし白樺の門


        はつこひの愚かなりしをととのへて我が衣に染む花紋としき


        あかあかとひかるまことの君が屋にゆかりの星の寄り来たらむぞ



 




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砂、水、二題

2008-02-28 08:51:03 | 歌集・恋のゆくへ


  慟哭の風よ砂より生まるるを彼方に聴けり月天の丘


  幻の衣を去りて逃げ騒ぐ砂のねずみの小枝に転ぶ


  此はたれの咎かと問ひし君の手の砂にこもりてつぶてを探す


  *


  清げなる水の流れに梅の香を逃したりけりをさななる頃


  雪解けの水を汲みゐて見出しぬ我が小さき手のほの白きこと







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月毛をえたり

2008-02-27 09:00:43 | 歌集・恋のゆくへ


  めづらしき月毛を得たりおろかなるわらはのきはみ弥見が欲しく

 

  おくやまの立木のかげの石むすび見えじの月に帰りたきかな



  なよたけのうれひの月をかきおとし人の世を堪ふ頼りともせむ



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森を見ざりき

2008-02-26 08:47:39 | 歌集・恋のゆくへ


  薔薇ならぬ薔薇の悲しみうとましき骨を悔やみてその珠を踏む



  夜に積むあばらの罪を甘く煮て菜の花を添へ君に食はさむ



  長々と森を見ざりき目をひさぐ糸をほどきて我ゆかむとす




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阿呆の宴

2008-02-24 11:07:47 | 歌集・恋のゆくへ


  空蝉と思ひし種の彼方にて芽吹く気のする小春日の陰



  羽たたむ鳥の休めるこの春の門より先にその夢はなく


 
  花の実の朱を欺きてことごとくあをきにしたり阿呆の宴



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ベリルの舌

2008-02-23 10:08:27 | 歌集・恋のゆくへ


  いつはりの林檎を噛みて
          荒砂の高殿に立つ 
       ベリルの舌よ




    薔薇の根をほどきてよりて
         沈黙の糸を編み来ぬ
              アラクネの夜




    高空の清きしるしの砕き散る
        花園に寝し
                あぽろんの犬






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