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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

山・海・空、三題

2008-02-16 09:54:44 | 歌集・恋のゆくへ


 しほからき酒と思ひし酢の壷にこもりし蛇に我が名を告げよ



     しづかにも月のまざれる上澄みをただよふ魚よ海の名を聴け



 ちりぢりに失せしもの追ふ古への鳥はまことのその名を知るか







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おるごおる

2008-02-03 09:54:51 | 歌集・恋のゆくへ



青き実の苦きをなめてはるかなる千歳の道をゆめわずらふな


        風かろき日月の水にひたりゐてちどり千鳥の歩幅にてゆく


花の実のふとる吐息に耳よせてかすかにうたふ野のおるごおる


        花の香をさらひこしかと風に問ふ君かみしめる今日のあやまち


おくやまに石切る人のその夜の深き眠りにひそみたき百合






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星を飼ふ

2008-01-15 09:49:07 | 歌集・恋のゆくへ

 ゆふづつのみづにおつるをひろひこよ 
                余は若竹の玉籠を編む
 
 墨のごとき泥にこもりしその星を
                ひろひし君の白きひたひよ

 われの目の高さの肩によりそはむ
                その若き背の花のごときなれば

 ふれむとしてふれぬその手のかたへにて
                星飼ふ籠を窓につるしき

 


     ☆☆☆

 


 うしなひし幻の星放たれよ天伝ふ日の入る水の果て

 ありありてあるこの我のうるはしきことより高き星はなきかな

 あだし世をともにせし実のほろ苦きを今在る君と語りたきと思ふ



     


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かへりきぬ

2007-11-25 10:18:26 | 歌集・恋のゆくへ

神よりの あまきこころを ことのはに
             とかさむとして きみいひよどむ

ひらかざる さくらのかひの かたくなに
              いはざることを とはむとぞする

きよきことを ちかはむとして ためらふは
               このよの愛の たよりなきゆゑ

かへりきぬ おれたる薔薇の ふるえだを
               いかにせむとて 見ぬ箱に捨つ


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風の玉衣

2007-07-30 22:22:53 | 歌集・恋のゆくへ

 汝が名のみ苦しきものとせしことは
               虫のゆくみち絶つものの罪


   あえかなり砂にまぎれし黒蟻の
               かひなを去りし風のたまぎぬ

コメント (3)
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あらざらむ

2007-06-28 09:32:11 | 歌集・恋のゆくへ

 あらざらむこの世のほかのかなしみを
              露玉を割るごと狂ひたり

               ならぬとぞ言ひたりし手を古枝の
                         ごとくくだきて去り行くか君

 君何に勝たむとぞせしまぼろしの
            にくきものみなわれにありしと

              君君にあらざるものをことごとく
                          苦しめたきと笑ひ狂ひぬ


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暗夜なれば

2007-06-18 07:24:49 | 歌集・恋のゆくへ

 

 

  暗夜なれば熱き怒りの石もちて
                  痛きダビデは暁に立つ

  

 

              久方の天したたりし荒し男の
                              いたましき鳥放ちたりけり

 

 

 

     


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たまかぎる

2007-05-31 09:01:10 | 歌集・恋のゆくへ
 
 
よきものと語りながらにをとめごのしろきかひなにあらじほをぬる

 
荒し男の見えぬ剣の胸にひそみいづる方なくわが身をぞ割る
 

たまかぎるほのかにきゆるあまた夜の君にあたへし白き指はも




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